この記事は、主に下記についてまとめています。

  • 変異株の感染力が高い理由
  • 日本で確認されている主な2つの変異株
  • 変異株の症状、感染力、再感染リスク
  • 変異株の子供に対する影響

変異株についての理解を深めたい方は、このページをブックマークしてご活用ください。

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この記事は、東京都議会議員(杉並区選出)のあかねがくぼ かよ子が、国(主に厚生労働省)や東京都、杉並区、保健所等各行政機関などの担当者に聞いた話や発表された情報をまとめたものです。

なるべく専門用語を避け、わかりやすい言葉や数値に言い換えているため、専門家の視点では正確性の観点で疑義が生じることもあると思います。

一般の方の理解を深めるためであることをご理解ください。

注意事項

慎重に精査はしていますが、状況は刻一刻と変化し、後日公式データが訂正されることもあります。情報の取り扱いには注意し、各自判断いただきますようお願いいたします。

変異株(読み方:へんいかぶ)の基礎知識

変異株について正しい知識を深めるために、東京 i CDC(東京都公式の感染症対策を担う常設の拠点)が発信した情報をピックアップして再編集しました。

※変異株に対して、当初より感染が広がっているものを「従来株」と表現しています。

変異株とは

東京都健康安全研究センターの吉村所長によると、変異株とは人の体内で増殖する際に、遺伝情報の一部でコピーミスが起こったウイルスのことです。

新型コロナウイルスには約3万の遺伝情報があります。

3万のうち、一箇所でも遺伝情報が変わると変異株となります。

今話題となっている変異株「N501Y」は、501番目のアミノ酸が、「N(アスパラギン)」から「Y(チロシン)」に変わった、という意味です。

変異株の感染力が高い理由

変異によって、ウイルスが人間の細胞表面にある受容体にくっつきやすくなったためです。

ウイルス感染は、人間の細胞表面にある受容体にウイルスがくっつくことで起こります。

そしてウイルスの感染力は「受容体へのくっつきやすさ」で決まります。

今回変異した501番目のアミノ酸は、受容体へのウイルスのくっつきやすさを左右する役割を持っていました。

そのため、変異株は感染力が高くなったのです。

日本で確認されている主な2つの変異株

執筆時現在、日本では主に「N501Y変異株」「E484K変異株」の2種類が確認されているとのことです。

変異株の名前特徴株の種類
N501Y変異株従来株よりも感染力が強英国株(より重症化しやすい)、南アフリカ株、ブラジル株、フィリピン株
E484K変異株従来株よりも免疫やワクチンの効果が低くなる南アフリカ株、ブラジル株、フィリピン株

変異株と変異種の違い

変異株が出現した当初、日本国内の一部報道機関が「変異種」という表現をしていました。

しかし「変異種」は学術的には誤用とのことです。

「変異株」と表記するよう、2021年1月22日に一般社団法人 日本感染症学会から声明が発表されています。

「変異ウイルス」も許容範囲だそうです。

なお、変異種とは「極まれに近縁の生物種の間で多くの遺伝子の交換(組み換え)が起きると、2つの生物種の特徴を併せ持った新しい生物種が誕生」した場合に用いるということです。

変異株の症状、感染力、再感染リスク

変異株の症状、感染力、再感染リスクについてデータや事例、発表をまとめました。

変異株の症状

変異株の症状について、イギリスの国家統計局(ONS)が1月27日に発表した情報をまとめました。

2020年11月中旬から今年1月中旬までの間にウイルス検査を受けた、イングランド在住の陽性判定者データです。

変異株の症状(約3500人)従来株の症状(約2500人)
35%28%
倦怠感32%29%
筋肉痛や体の痛み25%21%
喉の痛み21.8%19%
味覚の消失16%味覚・嗅覚の消失18%
嗅覚の消失15%味覚・嗅覚の消失18%
頭痛・息切れ・下痢・嘔吐両者に違いはなし両者に違いはなし

これらのデータによると、変異株では咳、倦怠感、筋肉痛などの症状が従来株より出やすいといえそうです。

参照:BBCニュースJAPAN(https://www.bbc.com/japanese/55837123)

変異株の感染力

英国ボリス・ジョンソン首相の声明によると、イギリスの変異株は、従来株より感染力が7割強くなっています。

これまでよりも1.7倍感染しやすいということです。

例えば従来株の場合、1人の感染者が10人で会食して、そのうち3人に感染が広がったとします。

これが変異株の場合、1人の感染者から5〜6人に感染する可能性があるということです。

実際に札幌のスナックカラオケでは、歌唱中もマスクをしていたにもかかわらず、変異株のクラスターが発生しています。

このほか大阪でも、感染対策を行った飲食店で1時間1人で食事をされた方が、後日変異株感染が判明した店主から感染した事例もありました。

変異株の再感染リスク

ブルームバーグの発表によると、変異株は再感染リスクを高めるそうです。

海外では、ブラジル型と呼ばれる「P.1」と南ア型「501Y.V2」の再感染リスクが高くなっています。

中でも「P.1」が再感染リスクが高いようです。

参照:Bloomber|Can You Get Covid Twice? What Reinfection Cases Really Mean
(https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-10-28/can-you-get-covid-twice-what-reinfection-cases-mean-quicktake)

変異株の子供に対する影響

日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会が2021年3月23日に発表した内容をまとめました。

変異株の子供への感染状況と特徴

  • 日本国内でも子どもが集まる施設で変異株のクラスター発生が報告されている。
  • 一方で、イギリスロンドンでは、変異株感染は特に子どもに多いわけではなく、成人と子どもの感染割合は従来株とほぼ同じ。
  • 変異株に子どもが感染した場合の経過も従来株と大きく変わらない。
  • 子どもでは感染者の多くが無症状から軽症で、この傾向も従来株と同様。

変異株に感染した子供の症状

  • 発熱、せき、鼻水、下痢、頭痛などの頻度が高い。
  • 変異株が子どもにより重い症状を引き起こす可能性を示す証拠は今のところない。

変異株は感染力が従来株より70%高いとされています。

子供の感染状況は従来株と大きく変わらないようですが、子供は本人の管理だけでは感染対策が不十分になりやすいです。

そのため周囲の大人が一層気にかけてあげる必要があると思います。

参照:日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会|子どもと新型コロナウイルスの変異株の感染について(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20210323_SARS-CoV-2%20Mutants_Statement.pdf)