都議会議員の あかねがくぼ かよ子 です。今週は各種委員会が開催されていました。
私は、総務委員会うち、「選挙管理委員会」「デジタルサービス局」について質疑を担当しました。「デジタルサービス局」というのは国の「デジタル庁」に該当するものですが、この組織は都民ファーストの会が2017年に発足直後から、デジタル化を推進してきた結果、ヤフー元社長である宮坂さんをトップに据え、国より先に立ち上がった組織です。
目次(クリックで各項目へジャンプします)
デジタル人材の確保と育成について
デジタル人材の確保や育成について伺う。我が国はこの領域の人材が官民共に大幅に不足している。また、人材確保においては民間の方が必要な人材に対して柔軟に投資することができるため、即戦力となるデジタル人材の給与水準は公務員より高くなるケースも多いのではないかと考える。
Q1 都においても民間で活躍した専門人材であるデジタルシフト推進担当課長の採用を行っているが、こうした高度な専門性を有するデジタル人材の確保について様々な困難が見込まれる中、採用に向けた取組には一層の工夫が必要と考えるが、見解を伺う。
A(戦略部長答弁)
○ デジタルシフト推進担当課長など、高度な専門性を有するデジタル人材の採用にあたっては、局が運営しているウェブサイト上で公募するなどにより、有為な人材を確保
○ デジタル人材については現在、国や他自治体において募集が行われており、人材確保に一層力を入れて取り組んでいくことが必要
○ 有為な人材の確保に向けては、都のDXの取組の認知を向上させていくことが重要。SNSを活用した情報発信を積極的に実施
○ 人材募集の情報について、局が運営するウェブサイトに加えて、デジタル分野の求職者が多数登録している外部求人媒体にも掲載。民間デジタル人材に対する訴求力を向上
○ 多様な手法を組み合わせ、採用活動を展開し、有為な人材を確保
優秀なデジタル人材の確保において、民間との競争もあれば、国や他の自治体との競争もある。東京都のデジタル化に貢献していただく人材は大変貴重であるので、確保と定着のための取り組みをお願いしたい。給与などの処遇面だけでなく、やりがいや達成感、価値ある経験を積める機会にすることなどが考えられる。
特に、即戦力となるすでに民間などで実績のある人材については任期付の採用となるケースが多いので、その期間で有意義なプロジェクト経験を積める、次のキャリアにつながる成果を出せるということであれば、多少処遇面で民間に及ばなくても、参加していただけるのではないか。
また転社が多く、人材同志の横の繋がりが強い業界なので、職場の良し悪しは評判がすぐ口コミで伝わる。都庁で働くことが、給与以上のやりがいや次のキャリアにつながる、というよい評判になっていけば、良い人材に選ばれる職場になっていくと思うので、処遇面だけでなく文化や風土の面も含めて期待し、次の質問へ。
DXの推進にあたっては、専門性を有する人材の確保だけでなく、職員全体を対象とした人材育成の取組も重要である。
特に、組織運営の要となる上位職層の職員においてデジタルに関する理解不足などのために、DX推進が滞るようなことがあってはならない。
Q2 そこで、職員全体のデジタルリテラシーの底上げ、中でも上位の職員である管理職層のリテラシーの底上げに向けて、どういった取組を展開していくのか、見解を伺う。
A(戦略部長答弁)
○ 職員全体のデジタルリテラシー向上を図るため、すべての職層の職員を対象にDXに関するセミナーや研修などの育成策を展開
○ 民間企業や海外等における先進的なDXの取組を学ぶ「都庁デジタルセミナー」を、全職員が聴講可能な形で9回開催。職層別研修においてもDXに関する科目を設置
○ 課長級職員を対象とした取組としては、外部講師を招いて、今年度はデジタル改革、データ活用、デザイン思考などをテーマとして、基礎的な知識の習得や意識改革につなげる研修を実施
○ 継続的に実施し、職員全体のデジタルリテラシーを底上げ
デジタルの専門家を集めるだけでなく、都庁職員全体がデジタルリテラシーを高められるか、成功を握っていると考えるのでしっかり取り組んで欲しい。次に、都内の基礎自治体のデジタル化支援に対する取り組みについて伺う。
Q3 都では、区市町村の人材育成を支援する取組として、令和元年度から区市町村職員向けの勉強会を実施しているが、これまでの実施状況と受講者の反応について伺う。
A(戦略部長答弁)
区市町村職員向けの勉強会については、半年間で全6回を1クール、2期にわたり開催。のべ56団体の職員が参加
RPAやデータ利活用などの個別テーマを選定し、民間事業者による最新動向を踏まえた講義に加え、ワークショップやハンズオン実習など、参加型形式により実施
アンケートでは、「他自治体におけるRPAの活用事例等を聞くことができて参考になった」、「業務フロー可視化の意義や記述ルールを実際の体験を通じて理解できた」などの感想
一方で、「一つのテーマをじっくりと学ぶ機会とはなりづらい」、「受講者同士の関係をより深める機会が欲しい」などの意見
今の答弁で、受講者のアンケートについても紹介いただいたが、こうした勉強会を継続的かつ有意義な内容で実施していくためには、受講者のニーズと内容のマッチングが非常に重要であり、都度、改善や見直しを図っていく必要がある。
Q4 そこで、今年度も勉強会を実施すると聞いているが、これまでの実施状況や受講者からの声を踏まえ、どのように取り組んでいくのか伺う。
A(戦略部長答弁)
本年9月より開催している第3期の勉強会では、各回で単発の個別テーマを扱うのではなく、「自治体DX推進計画」に掲げられている業務プロセスの見直し(BPR)の推進に即した実践的な内容について、全6回を通してグループワークを中心に実施
遠方の自治体でも参加しやすくするためオンラインを前提に実施。メインの講師に加え、サポート役を配置し、受講者の支援体制を構築
こうした内容を周知の上、募集したところ、30団体の区市町村職員が参加。現在、2回目のグループワークを実施
自治体のICTを牽引する職員の育成に繋がる内容となるよう改善
東京デジタルファースト条例について
都では、本年4月の条例施行を受け、行政手続のデジタル化を推し進め、都政のQOSを高めるために「東京デジタルファースト推進計画」を策定し、本年7月に公表した。
Q5 そこで伺うが、行政手続のデジタル化の現状と、今後の目標について伺う。
A(戦略部長答弁)
全ての手続きを対象に棚卸調査を実施。庁内内部の手続きを除く手続きについて、デジタル化の時期や実施手法等を定めている
約28,000の手続のデジタル化を目指し、オンライン化した手続数の割合を、昨年9月末時点で5%のものを、第一計画期間の終期である令和5年度末までに70%まで引き上げていくことを目標
計画的・戦略的なデジタル化を推し進め、都政のQOSを向上
令和5年度末までに庁内内部の手続きを除く手続きについて70%までデジタル化する目標とのこと。
条例本文を読むと、第10条に適用除外の規程が明記されている。
Q6 そこで伺うが、この規程が適用され、デジタル化をしなくても良い手続きはあるのか。
A(戦略部長答弁)
デジタル手続法に準拠し、「申請等に係る事項に虚偽がないかどうかを対面により確認する必要があること、許可証その他の処分通知等に係る書面等を事業所に備え付ける必要があること」など、具体的な事由を挙げ、適用除外規程を設置
条例施行にあたり、昨年度末までに各局と協議のうえ、適用除外となる手続きの有無を精査した結果、当該規程に該当する手続きはない
東京デジタルファーストの除外となる手続きは見当たらない、ということが確認できた。前述のR5年までに70%目標達成にむけしっかり取り組んでいただきたい。
「庁内内部の手続きを除く手続き」が棚卸しの対象だとのことだが、支払いにかかる庁内手続きなどは、都民サービスに直結する部分でもあるので、早期にデジタル化すべきと領域と考える。また、職員の業務効率化に対して影響の大きな庁内手続きについては、働き方改革の一貫として早期にデジタル化を要望。
ペーパーレスの取組
3月に公表した「シン・トセイ」戦略では、コピー用紙の削減件数について、2016年度比で昨年度は30%削減、今年度は50%の削減を目標としている。
昨年度の目標は達成したということだが、今年度目標である50%削減は意欲的な目標値であり、その実現に向けては、都庁内部における業務自体の見直しが欠かせない。
Q7 そこで、ペーパーレスの目標達成に向けて、自律的な改革という観点から、具体的にどのような取組を進めているのか伺う。
A(デジタル改革担当部長答弁)
2016年度比50%減という今年度の目標達成に向けては、ペーパーレスで仕事ができる環境を整備するため、各局の本庁部門において、会議用モニターやディスプレイなどデジタルツールの導入を推進
業務自体の見直しに取り組んでおり、予算、人事、計画の全庁共通業務について、今年度から、クラウドサービスや部門サーバーの局横断での利用などにより、紙での資料提出を廃止し、資料の共有や、計数などのデータ集計を効率化
ダッシュボードを活用し、部局別削減状況をグラフで示し見える化を図るなど、各局の自律的な削減を促進
改革を積極的に実施することで、目標達成に向け取り組む
デジタルツールを積極的に活用した、仕事の進め方の見直しにより、ペーパーレスの取組が進んでいることがわかった。
引き続き全庁一丸となって取組を進め、仕事の効率性を高めることで、都政のQOS、都民のQOL向上を図っていただきたい。
スマートシティーについて
デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができる「スマート東京」の実現を目指している。
Q8(都市OSについて)スマートシティを進めていく上で、都市OSの構築・活用が重要とされるが、どのようにプロジェクトが進められているのか。また、実装による効果や具体的な活用方法についても伺う。
A(デジタルサービス推進部長答弁)
〇スマート東京先行実施エリアの一つである都心部の3地域では、各地域の民間事業者の連携体であるエリアマネジメント団体が都市OSの構築、活用を軸とした取組を進めている。
〇具体的には、都市OSの活用例として、災害対応に資するデータの地元区との共有や、エリアの人流や気象情報に合わせた移動経路の検索サービス、複数のデータを一つの3D都市モデル上でかけ合わせて可視化するツールの公開などがある。
〇都市OSの構築・活用を進めることにより、分野横断的なスマートサービスの社会実装を促進し、地域住民や観光客、通勤・通学の方々など、その地域で過ごす人のQoL向上につなげていく。
Q9(スマートシティ化の拡大に向けた都の取組について)
先行実施エリアに限らず、都内でスマートシティ化を進めていく上で、横展開が重要だが、横展開に向けた取組を伺う。また、杉並区のような住宅地におけるスマートシティー化も進めるべきであると考えるが、都の取組を伺う。
A(デジタルサービス推進部長答弁)
〇都では、スマート東京先行実施エリアの取組の成果を発信・共有していくため、昨年度より都内区市町村や関係企業間での情報共有を目的として、「スマートシティ連絡会」を2回開催しており、今年度も実施していくことで、スマートシティの横展開を図っている。
〇スマートシティ化に当たっては、産学官などが連携して地域の実情に即した取組を進めていくことが重要である。そのため、スマートシティ化に新たに取り組もうとしている地域との間で、課題や知見の共有などを図るため、意見交換などを行い、地域の状況に応じた取組を後押ししていく。
スマートシティー化は中長期で進めるプロジェクトなので、1、2年で何か変わるものではない。しかし、コロナ禍で浮き彫りになった行政課題、例えば「迅速にワクチン接種できる体制をつくる」「自宅療養者の健康観察」など命を守ることに直結する取り組み。
杉並区民と意見交換しながら、杉並区のスマートシティー化に向けて尽力してまいります。