令和3年3月16日の建設局関連の予算質疑については、自転車走行道路整備について、杉並区の河川整備工事の事故について、質疑しました。
目次(クリックで各項目へジャンプします)
自転車通行空間整備について
Q1、自転車通行空間整備推進計画の策定について伺います。
自転車は、子供から高齢者まで日々の通勤通学や買い物など、手軽に利用される交通手段です。
コロナ禍に伴う外出自粛等による宅配需要の高まりや、3密を避けた「新しい日常」に対応した交通手段として自転車の利用が増加しています。
自転車を利用するに当たっては、利用者のマナーによるところもありますが、歩行者、自転車、自動車がともに安全で安心して通行できる道路の通行空間の整備が重要です。
都は、自転車通行空間の整備を進めてきましたが、これまでの都道における整備実績について伺います。
A1、
○都は、これまで「東京都自転車走行空間整備推進計画」に基づき、既設道路において自転車交通量が多く事故の危険性がある区間などを「優先整備区間」と定め、自転車通行空間を整備。
○また、優先整備区間のほかに、都市計画道路の整備や道路改築等を行う際にも、自転車通行空間を整備。
○あわせて、2019年度末までに約300kmが完成。
Q2、都道における自転車通行空間の整備は進んできているものの、連続的な整備の観点からはまだ十分とはいえません。
自転車通行空間は連続して整備することで、利用者にとって利便性がより向上します。
現計画では整備目標年次を2020年度までとしており、都は引き続き自転車通行空間の整備を進めるため、2月にこの現計画に続く計画として東京都自転車通行空間整備推進計画案を公表しました。
この中で、既設道路においては、優先整備区間を選定し、整備をすることとしていますが、どのような視点で区間を選定し、整備を進めていくのか伺います。
A2
○優先整備区間については、既存の自転車通行空間との連続性、区市町村道の自転車ネットワーク計画路線との連続性、自転車交通量や事故の発生状況の3つの視点から選定。
○今後10年間で約250kmの整備に取り組む。
Q3、優先整備区間については分かりました。次は整備形態について伺います。自転車通行空間の整備には、車道での整備や、歩道上で植樹により分離した整備などいくつかの整備形態があります。
そこで、東京都は、自転車通行空間の整備にあたって、どのように整備形態を選定しているのか伺います。
A3
○自転車通行空間整備に当たっては、限られた道路幅員の中での自転車通行空間に向け、歩行者、自転車、自動車の交通量、駐停車車両や沿道の状況等を踏まえて整備形態を選定。
○具体的には、国のガイドライン等に基づき、車道の活用を基本としつつ、自転車レーンの設置、幅広い歩道を活用した構造的分離や視覚的分離など、地域の道路事情に応じて整備。
Q4、限られた道路幅員の中で、また国のガイドラインに基づいてということですが、適正に整備がされていても自転車走行に危険な場合もあります。
たとえば車道を活用した自転車レーンですが、連続的に整備されているにも関わらず、自転車レーン上に車が駐車され、自転車が車を避けて通る危険な状況を目にします。
違法駐車の取り締まりや自転車利用に関するルールやマナーの周知については、警視庁や都民安全推進本部が主体となって実施していますが、道路管理者として関係機関と連携した取り組みが必要と考えます。
自転車通行空間の整備にあたり、こうした状況において、どのような安全対策に取り組んでいくのか伺います。
A4
○安全対策については、違法駐車によって自転車の安全な通行が妨げられることがないよう、交通管理者との連携を図ることが重要。
○違法駐車車両の取締りの強化を交通管理者に要請するとともに、必要に応じて交通管理者と連携して駐車マナーを訴える注意喚起看板を設置。
意見:引き続き関係機関と連携し、連続的な自転車通行空間の整備を進め、安全で快適な自転車利用環境の整備に努めて頂きたいと思います。
河川整備工事の事故について
事件案のうち「神田川整備工事(その207)の施行に伴う家屋等の損傷事故に係る損害賠償の額の決定について」伺います。
私の地元、杉並区を流れる神田川は、特に流域の市街化が著しい典型的な都市河川であり、これまでに多くの水害が発生している。
このことから、鋭意、護岸整備が進められていると共に、神田川環状七号線地下調節池などの調節池も整備され、昔に比べ、洪水に対する安全性は向上していると実感しております。
私達が安心して暮らすためには、この護岸整備を着実に進めることが大切だと思いますが、一方で、神田川の川沿いは、住宅等が近接しており、工事現場の近くで生活している住民は工事による騒音や振動といった影響を受けることも確かです。
本件は、工事によって、家屋が傾いた事象であり、お住まいの方に、しっかりとした賠償をするとともに、今後、このようなことがないようにすべきと考えます。
そこでまず、
Q1 家屋所有者の申し立てから今回の額の決定まで約5年かかっている。その理由について伺う。
A1 〇本件は、施工時の振動などによる一般的な被害と異なり、工事終了後、一定期間を置いて顕在化した被害
○公共工事の施行に伴う家屋等の物損被害の賠償は、都において、工事内容を踏まえ、必要な環境調査のデータ等を検討したうえで、個々の損傷について確認し、因果関係を認定
○家屋所有者からの申し出を受けて、家屋の損傷を確認し、工事との因果関係を詳細に把握するため、地下水位の変動を2年間にわたり観測し、詳細な地質調査を複数回追加して行うなど、原因究明に向け必要な調査検討を実施
○その後、追加の家屋調査や処理方針の決定を経て賠償額を算定
○こうした認定に必要となる詳細な調査や検討の期間として、約5年を要した
本件は、工事との因果関係を把握するため、様々な調査検討を実施してきた事は理解した。
そこで、その調査検討を実施してきた結果、
Q2 本事故における工事との因果関係とは、どのようなものか伺う。
A2 ○本工事は、護岸整備に当たり土留めとして設置した鋼矢板を、当該家屋に近接する箇所は施工に伴う影響も考慮して残置し、家屋から離れている箇所は撤去
○地下水位の調査の結果、鋼矢板の残置箇所は、降雨時に地下水が滞留し、水位が繰り返し上昇したことが判明
○これにより、鋼矢板を引き抜いた方向に流下現象が生じ、宅地内の地盤にある砂層の細粒分が沈降したことで、地盤沈下が生じたと推測
○こうしたことから、家屋の損傷と工事との因果関係があると認定
地下水の動きや宅地内の砂層など、様々な要因が重なって生じた事象であることが理解できたが、現在、
Q3 上流でも護岸整備が行われており、今後も同様な被害が発生する可能性があるのか伺う。
A3 〇現在、神田川上流では、自立式鋼管杭護岸を採用して整備
○この護岸は、本設の鋼管杭が仮設の土留め材も兼ねていることから、本件の原因の一つである鋼矢板の引抜きなどに起因した地下水の流下現象が発生する可能性は極めて低い
〇護岸整備に当たっては、現地の地盤状況や施工実績などを踏まえ、適切な工法を採用
冒頭にも申し上げましたが、今回被害を受けた方には、本件の対象である建物の損傷に対する賠償のほかに、建物の損傷に関連して生じた損害があれば、丁寧かつ適切に対応するようお願いします。
本件のような規模の地盤沈下による家屋の傾きという事例は過去になかったと聞いています。
現在は本件のような被害が発生しにくい工法を採用しているという答弁がありましたが、今後とも、そうした工夫もしつつ、住民の理解と協力を得ながら、河川の工事を進めていくことを要望して質疑を終わります。