令和3年3月15日の環境局関連の予算質疑で、私はフードロスの問題についてテーマに取り上げました。環境の視点だけでなく、子供食堂など福祉の視点も合わせて課題解決を図るよう提案しました。

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食品ロスは、生産から消費に至る様々な段階で発生し、食品自体がもったいないだけでなく、CO2削減の観点からも喫緊に対策を講ずべき課題であり、これまで私も重要なテーマとして取り上げてきた。

都内の食品ロスは、事業系が7割を占め、外食産業や小売業からの発生量の多いことが特徴であり、これらの業界は、中小事業者も多く食品ロス対策が十分に進んでいるとは言えない。

こうした状況において、多くの事業者の食品ロス削減の取組をレベルアップしていくには、取り組みやすく効果の高い事例を現場から抽出し、共有していくことが重要である。

そこで、都は、来年度事業で、アドバイザーを活用しながら、食品ロス削減につながる優良な取組事例の共有を図るということだが、具体的な取組内容について伺う。(Q1)

(A1)資源循環計画担当部長

〇 事業系の食品ロスの大部分を占める外食産業や小売業は、中小企業が多いことから、人手や資金が限られている中で負担感のないよう現場の実態に即した食品ロス削減に有効な取組を定着させていくことが重要

〇 そのため都は、来年度、モデル事業所を選定の上、食品ロス削減に知見を有するアドバイザーが、現場で直接具体的な取組を助言する事業を実施

〇 事業の内容としては、中小スーパー等でのバックヤードの整理方法や、飲食店における食材を無駄にしない保管方法や最後まで使い切る工夫など、新たな設備投資をすることなく、現場の従業員の方が、簡単に実践できる取組について、アドバイザーが事業所で個別具体の助言を行い、着実に食品ロスの削減を図る

〇 また、各現場で、アドバイザーが蓄積した効果的なノウハウや優良な取組事例については、整理・取りまとめの上、関係団体等と連携しセミナー等を通じて共有を図る

事業系の食品ロス削減については、アドバイザー活用による優良事例の共有というソフト対策とともに、昨年12月の当委員会で質疑した先進技術の活用による対策も重要である。

中でも食品ロス削減推進計画案で示されている、食品の保存期間を延ばす食品のロングライフ化は、食品ロス削減に大きな効果を発揮するものと期待する。

共働き世帯がふえ、週末にまとめ買いをする消費者が増えていることや、小売・外食産業においても急な需給の変化に備える必要があることから、より賞味期限の長い商品のニーズは高まっている。

都は、来年度事業において、食品のロングライフ化技術を活用した食品ロス削減に取り組んでいくということだが、改めて、今後の都の取組について伺う。(Q2)

(A2)資源循環計画担当部長

〇 食品には賞味期限や消費期限があり、生産から消費に至る様々な段階で期限切れとなって廃棄されていることから、食品のロングライフ化に寄与する技術を掘り起こし、活用を広げていくことが重要

〇 そのため都は、来年度、先駆的な取組を進める事業者とともに、先進技術を活用して食品のロス削減を目指す実証事業を実施

〇 具体的には、傷みの早い生鮮食品や調理済の料理等について、鮮度を保持し長持ちさせる特殊なシートや、品質や食感を落とさない独自の冷凍技術など、高度な包装・冷凍技術を活用した食品ロス削減につながるビジネスモデルの創出と社会実装に向けた取組を支援

○ また、実証事業で得られた成果については、関係事業者と広く共有を図るほか、消費者へも普及啓発することで、食品ロス削減に向けた取組を推進

都は、事業系の食品ロス削減に向けて、今伺った食品のロングライフ化とアドバイザーの活用という両面からしっかり取組を進めていくことがわかった。

ロングライフ化につながる、鮮度を保持し長持ちさせる特殊なシートつきの容器はよく見かけるようになった。技術革新により食品ロスが減ることは大変望ましい。一方でワンウェイプラスチック容器の削減にむけ、リサイクルの視点も考慮して推進をしていただきたい。

長引くコロナ禍において、事業者の方々の中でも、特に外食産業に係わる事業者は、大変厳しい状況にある。食品ロスを減らすことが飲食店経営者にとって利益率が改善するような方法を、当事者の立場になって、共に検討していってほしい。

また消費者への普及啓発にも努め、社会全体での機運醸成を図っていただくことを要望する。