第三定例議会が終わりました。
最終日は都民ファーストの会東京都議団を代表し、
○スタートアップ支援
○医療改革
○教育(インクルーシブ、スピーキングテスト)
○多角的な霊感商法対策の強化
○通園バスでの置き去り事故防止
などについて、討論に立ちました。以下全文です。
私は、都民ファーストの会東京都議団を代表し、知事提出の全議案に賛成し、議員提出議案第十号、第十一号、第十二号、及び第十三号に反対の立場から討論を行います。
日本は、平成の失われた 30 年から続く、長いトンネルから抜け出せずにいます。停滞する経済に加えて、世界最速で進む少子高齢化、世界的な気候変動危機など多くの課題が山積する中で、日本は実効性のある対策を講じることなく眠っていたと言わざるを得ません。こうした状況を打破するためには、首都東京が、世界でも存在感を示す成熟した魅力ある都市として競争力をつけ、停滞する現状への新たな答えを切り拓き、日本全体へ波及させていくことが必要です。
単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、長期的な視点で東京の未来を描き、変化を恐れず歩みを進めなければなりません。「危機こそがイノベーションの好機」と捉え、不断の改革を断行していくことを改めて求めます。
目次(クリックで各項目へジャンプします)
【1】スタートアップと文化で稼ぐ経済政策
まず、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策です。
海外から「選ばれる都市」の実現にむけて、スタートアップや文化などこれからの東京を支える「人」や、デジタル基盤への投資が必要です。加えて、都民が文化を消費するライフスタイルを築いていけるように促すべきです。
スタートアップのプロとともに諸外国の事例等を分析し、「東京版StationF」の設置検討も含め、東京都で取り組むべきスタートアップ戦略と施策を早期に取りまとめることを求めます。また、知事より前向きな答弁のあった、東京都立大学をはじめ、起業家を増やすための実践的なアントレプレナーシップ教育に取り組むことを求めます。
DXはダイバーシティやインクルーシブ社会の実現にも大きな手段となります。2025年のデフリンピック開催を契機に、テクノロジーの力でバリアを越える「インクルーシブテクノロジー」が普及するよう、都庁や政策連携団体のサービスにおける率先行動を求めます。
コロナ禍において、公演回数や入場者の減少に加え、中止した場合の費用なども、特に小規模な芸術文化団体等の大きな負担となっています。団体が存続し、積極的な公演活動等ができるよう、こうした芸術文化・エンターテイメント団体等の活動を支える、新たな支援策の創設を求めます。
【2】医療改革
次に、医療分野の改革です。先進諸国を参考に、オンライン診療の普及に加え、医療データの利活用により、医療資源の効率化につなげていくことを求めます。また、既存の医療資源につながりやすくするとともに、自らの健康について知ることができる、一人ひとりに寄り添った医療環境を整えていくことを求めます。
緊急避妊薬・アフターピルは72時間以内の服用が必要とされる一方、日本では医師の診察・処方が求められることから、時間や休日祝日を問わず電話やLINEにより相談できる環境、オンラインでわかりやすく情報を入手できる環境、場所によらずオンライン診療等で処方箋を得られる環境の構築を求めます。加えて、性犯罪被害者に限らず、費用負担を軽減する支援を求めます。
我が会派が求めてきた、不妊治療の保健適用外となっている先進医療の費用について、都独自の助成制度を創設について評価しますが、さらに、妊孕性を高め不妊治療の短期化も期待される卵子凍結や、治療に活かすことのできるAMH検査に対しても支援の創設を求めます。
【3】教育(インクルーシブ、スピーキングテスト)
次に、教育です。
インクルーシブ教育を推進するよう強い勧告
国連の障害者権利委員会から日本に対し、「分離した環境の教育」をやめてインクルーシブ教育を推進するよう、強い勧告が出されましたが、これを踏まえ、東京が日本のインクルーシブ教育を牽引する気概で、さらに力強く取り組みを進めることを求めます。
スピーキンングテスト過渡期に生じる不安への改善
また、東京が世界と伍して戦う競争力を培うには、未来を担う子どもたちの教育が重要であることは言うまでもありません。中でも、英語力を含む、国際社会を生き抜くコミュニケーション能力は必要不可欠です。
我が会派は、都立高校入試のスピーキングテストについて、過渡期において生じる課題や生徒・保護者の不安に対して、これまでも改善を求めてきました。先日我が会派の提案に対して都が対応する方針を打ち出した、経済格差への対応や不受験者承認の厳格化、得点開示、相談窓口の設置、個人情報の厳格な管理などは着実に進められるよう求めます。
また、試験の導入が英語の話す力をのばし、子供たちの未来につながるものとなるよう、今後、試験の仕組み改革と併せて、子供たちの英語を話す力の向上に対して、これまで以上に支援に力を入れるよう求めます。
「東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例」の違法性の可能性
議員提案条例第十一号「東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例」について申し上げます。
本条例案は、法律上、教育委員会が管理・執行すると定められている都立高校の入学に関する事項について、入学者選抜の資料を限定することで介入するものであり、そもそも「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に違反する可能性が高いものです。提案会派は「条例の作成にあたり複数の弁護士の確認を経ている」と述べていますが、弁護士の詳細は明らかにされず、法的問題点に関する指摘に対して、信用性のある答弁は得られませんでした。この様な条例を提案し、さらには「今後、時の議会の過半数が改正していく」と答弁している点も、教育の政治的中立の理解に欠けるものであると厳しく指摘をしておきます。また、条例案全体の内容や構成にも、稚拙さがあります。
また、提案会派の答弁では、今回のスピーキングテストの評価者が「日本の教員免許」を有していないことが問題である」という趣旨の説明がありましたが、この点も、世界を舞台に活躍できる人材を育成していくという、英語教育の根本目的への理解に疑問を示すものです。以上のことから、本条例案には反対します。
我が会派にも様々な声が寄せられており、賛否について真摯な議論が行われました。引き続き、不安に感じる生徒や保護者に寄り添い、その払拭に努める必要性を強く認識しています。今後もスピーキングテストが生徒や保護者にとってより良いものとなるように、必要な提案を続けて参ります。
【4】多角的な霊感商法対策の強化
多角的な霊感商法対策の強化を求めた先日の我が会派の代表質問に対し、都からは、庁内連携会議による各局との情報共有、都民への集中的な注意喚起の実施、弁護士が幅広い相談に対応する緊急特別相談の実施等を行う旨の答弁を得ました。霊感商法に関しては、消費者問題以外にも様々な関連課題があり、教育・福祉・警察など、都庁全体でしっかりとした課題認識を持ち対応策を検討していくよう強く求めます。
【5】通園バスでの置き去り事故防止
最後に、通園バスでの置き去り事故防止についてです。ヒューマンエラーは起こりうることを前提に、デジタルの力も利用して、多層的に死亡事故防止に取り組むことを求めます。知事からは、置き去り検知センサー等の導入について財政支援をするとの新たな答弁がありましたが、補正予算等により今年度中に取り組みが開始できるよう求めます。
都民と共に政策を形成する「政策のオープンイノベーション」
さて、我が会派は、これまで「都民ファースト」の立場で、民間の視点・女性の視点、子育て世代・若い世代の視点を取り入れ、以前の都議会では議論が立ち遅れていたデジタル、グリーン、そしてダイバーシティに注力し、例えば、パートナーシップ制度の創設、赤ちゃんファースト事業の創設、待機児童の解消、デジタルサービス局の設置など、都政に新しい風を吹きこみ、様々な成果を生みだして参りました。
今後、都政と社会の構造改革をさらに進めるため、必要な中長期的な取り組みについて、代表質問でも継続的に取り上げて参ります。また、様々な政策課題に対して、民間有識者や都民意見を取り入れる工夫によって、都民と共に政策を形成する「政策のオープンイノベーション」を行って参ります。
以上、私たちは、東京から日本を牽引していく東京大改革を旗印に、危機こそがイノベーションの好機と捉え、都民の声を聴き、都民のために不断の改革を断行していくことを改めてお誓い申し上げ、都民ファーストの会東京都議団を代表しての討論を終わります。