稼ぐ力向上について
アジア諸国が目覚ましい経済成長を遂げる中、東京の経済成長率は0.6%程度と、国際競争力は相対的に低下している。そこで都は、都内経済を活性化させる施策のひとつとして優れた技術をもつ外国企業誘致を特区制度などを活用し取り組んでいる。
Q1誘致対象となる外国企業の選定基準について詳しく伺う。
A1(政策企画局長):
○誘致対象の検討にあたっては、AI、IoT、ロボティクス等の第四次産業革命に関連する技術において、日本でまだ活用されていない先進性を持つこと、またその技術が都内産業の抱える課題の解決につながるものであること
○着実な誘致と事業継続の実現のため、都内に業務統括拠点及び研究開発拠点を設立する計画のある企業であること
○都内企業の生産性向上につなげるため、都内企業と協業の意思があること
Q2そのような外国企業の誘致により、都民や都内産業にどのような利益がもたらされるのか。今までの成果はどんなものか伺う。
A2(政策企画局長):
○平成二十八年度までに誘致した外国企業八十社による都内への投資額は、約二八八億円にのぼり、その約七割が人件費
○このような直接的投資による効果に加えて、市場規模の大きい産業領域へ先端技術が導入されることは、コスト削減や付加価値の向上をもたらし、都内企業の生産性向上にも貢献
○こうした技術を取り入れることは、社会課題の解決にも寄与。例えば、自動運転技術の円滑な導入を図っていくことは、運転手不足の解消や輸送の効率化に繋がっていく。卸売・小売業においても、深刻な人手不足等が課題となっているが、生産性・業務効率向上が図られる
こちらは誘致した外国企業80社の内訳。都内への直接投資額として288億円、うち7割は人件費。
一般的に外資系企業は給与水準が高いので、より条件のよい雇用を生んでいる点で、都民への利益につながっているといえる。
他にも外国企業のもつ優れた技術の活用で人手不足解消につなげるなど、都内産業に様々なメリットがあることはわかった。
優れた技術を持つ外国企業と都内企業の協業により生産性向上につながるとのことだが、過去5年間の都内企業との連携実績について紹介する。
述べ213件ということだが、その内訳を見ると、中小企業はまだ少ない。
連携の内容では、営業提携がメインで、全体で55%、中小企業では61%である。
Q3外国企業の優れた技術を都内中小企業の生産性向上に繋げることを目的にするならば、営業や販売だけでなく、もっと開発から製造機能での連携を図るようにしなければならない。開発、製造での連携に際してどんな課題があるのか調査分析し、都内企業の生産性向上につながるよう都としてもしっかりサポートしていただきたいと考えるが見解を伺う。
A3
○都はこれまでも、協業意思の高い外国企業を誘致し、都内企業との引き合わせを行ってきた。平成二十九年度は、外国企業三十九社、都内企業一三九社の間で、二七七件の引き合わせを実施
○今年度からは、専門のコーディネーターが外国企業と都内企業のニーズをきめ細かく把握することにより、効果的な引き合わせを支援するパートナーシップ支援事業を開始
○本事業では、引き合わせの支援にとどまらず、引き合わせ後の協業の進捗管理を定期的に行うことで、継続的なフォローアップも実施
○お話のように、共同開発等、外国企業の技術が都内企業の技術水準を向上させるよ
うな効果的な協業を促進できるよう、支援を強化
都内企業の生産性向上につながる効果的な協業になるよう取組むという前向きな答弁をいただいた。
パートナーシップ支援事業のフォローを要望。
さて、外国企業誘致の取組の一環として、外国企業の中でも特にスタートアップを対象に、東京の大手企業とのマッチングを図るアクセラレータプログラムというものがある。
その実績として、(三井住友海上等の)損保大手がフランスのフィンテック企業であるシフト社と提携し、同社のもつ人工知能が搭載された不正請求検知システムをちょうど来月4月に導入の予定であると聞いている。
損保業界が直面している不正請求の課題解決につながる、アクセラレータプログラムの好事例である。
さて、「スタートアップ」という言葉は、発祥地であるシリコンバレーでは最新のテクノロジーを駆使し、これまでに存在しないサービスを生み出し、あっという間に市場を獲得しながら急成長を遂げる企業のことを指すという。そのようなスタートアップの誘致合戦が世界で繰り広げられている。
Q4:シリコンバレー、ニューヨーク、イスラエルのテルアビブ、ロンドン、シンガポール、等が世界的に有望なスタートアップに選ばれる拠点である。その中で、他ではなく東京が選ばれる理由、東京の優位性について、どのように認識しているか。また外国企業にとって都内企業と連携するメリットは何か。
A4(政策企画局長):
○誘致に成功した企業に東京を選んだ理由を調査したところ、外国企業が東京を選ぶ理由として、日本のマーケットの大きさ、潜在成長性の高さ、優秀な人材の豊富さ、社会の安定性、が挙げられている。例として、英国系監査法人の調べによれば、日本の卸売・小売業におけるAIの活用市場の規模は、二○一五年時点で約一兆円であるが、二○三○年には一五兆円にも大きく拡大すると見込まれている
○外国企業は、東京という巨大かつ成長可能性のあるマーケットにおいて、都内企業と連携することで、自社の先進的技術を広く普及させ、販路拡大やパートナー獲得を実現
東京が選ばれる理由として、市場の魅力、優秀な人材しやすさ、カントリーリスクが低い点であると認識されているとのこと。
世界的に有望なスタートアップが本社所在地を決める要素について、専門家から聞いたところ
第一に資金調達がし易いか、手続きも含めて素早くできるか、税や規制面での優遇があるかであり、
第二にユニコーンなどの有望企業が同地域に存在していてイノベーションが生まれやすいエコシステムがあるか、という点とのこと
つまり
有望なスタートアップが本社所在地を決定する要素に、市場の魅力は殆ど関係ないとのこと。これは国境をこえてビジネスを展開することが前提になるため。
先般の第4定例会で私の質問に対して、都内にイノベーションを生み出すエコシステムを都内に作るための取組をスタートする、という前向きなご答弁を知事よりいただいた。こちらは大変期待しておりますので、しっかりと進めていただきたい。
「東京版イノベーション・エコシステム」キックオフ・イベント(一般参加可)
1点目の資金調達のし易さや行政手続きの簡素化、特区を活用した更なる規制緩和等も検討していただくことも必要と考える。
先ほどの答弁では、今まで誘致に成功した外国企業の東京を選んだ理由としてお答えいただきました。おそらく、80社にとっては日本市場で稼ぐことが目的であるということ。
先ほども指摘したが、誘致した外国企業にとって都内企業が単なる販売チャネルになってしまっては、技術が都内企業に移転されずに、終わってしまうリスクが高いです。
誘致に際して、都内企業との協業の意思確認をしているが、契約などによる拘束力はないと伺っている。
誘致した外国企業により、市場と人材は活用されたけれど、都内企業にはあまりリターンがなかったということがないよう、PDCAサイクルによりしっかりと内容を磨き続けていただきたい。
外国企業誘致を東京の稼ぐ力に結びつけるため、都内企業向け施策との整合性や相乗効果も専門家の知見を交えて、改めて確認して頂くよう要望。