令和2年第1回定例議会 あかねがくぼ一般質問と答弁の骨子をご紹介します。

録画映像(一般質問2日目・2月28日をご覧ください。)

あかねがくぼ都政レポート8号

遠隔医療

新型コロナウイルス感染拡大による院内感染、医療崩壊を防ぐ

新型コロナウイルス対策は、流行・蔓延への対処の段階に入っています。院内感染リスクが高まる中、一般の疾病への診療は、通院することなく、診察や薬の処方をしてもらいたいと考えています。国の基本方針でも今後患者が大幅に増えた状況では、「継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、電話による診療等により処方箋を発行するなど、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制をあらかじめ構築する」としています。
遠隔医療は医療資源の乏しい地域にだけ必要なものではなく、今回のような感染症流行や災害発生直後などの有事の際には、必要不可欠な社会的インフラです。すでに平成30年度診療報酬改定で「オンライン診察料」が創設されており、再診については遠隔での診断ができる制度になっています。

Q1:新型コロナウイルスの拡大期に際して、院内感染や医療崩壊を防ぐ上で一定の効果が期待できる遠隔医療の推進について、医師会や病院協会とも連携を取りながら、協議を始めるべきと考えますが、見解を伺います。(福祉保健局長)

〇 都は、国に対し、新型コロナウイルス感染症への対応として、オンライン診療が可能となるよう、速やかに検討することを緊急要望

〇 今後、国が定めた基本方針も踏まえ、医師会等とも連携し、感染防止の観点から、医療機関を受診しなくてもよい体制づくりに取り組んでいく

ヘルスケアと予防医療で都市の遠隔医療を実現

世界を見ると、米国に続き欧州でも遠隔医療は成熟してきています。シンガポールは急速な高齢化や医療費増大という社会課題の解決にむけ、官民連携でこの分野に取り組んでいます。対して、我が国の遠隔医療は島嶼や僻地など限られたものであり、都心にはほとんど普及していません。
医療研究としては、アップルウォッチなどのウェアラブル端末を使って血圧や心拍数などの生体情報を取得し、症状や薬の効果などを分析するといった取組が、日系企業や大学では始まっています。そもそも遠隔医療とは、デジタル技術を使って、ヘルスケア分野と一体的に実現してこそ、医療費削減など真意を発揮するものです。健康を自己管理できるようになり、予防医療が可能となるからです。

Q2:都として、目前に迫る5G時代に相応しい都市型の遠隔医療体制を整備していくべく検討を開始すべきと考えますが、見解を伺います。(福祉保健局長)

〇 国は、高精細映像等のやり取りが高速で可能となる5Gを活用し、診療所医師が総合
病院の専門医の助言を得て実施する訪問診療や、救急搬送中に患者の映像・検査データ
等を救急車と病院が共有する救急医療に関する実証実験を実施

〇こうした実証実験の成果も参考にしながら、都における遠隔医療について検討していく

  • 遠隔医療の提案について、新聞報道でも取り上げていただきました。
産経新聞2月28日
読売新聞2月28日

デジタル&イノベーション推進

デジタルガバメントで都民に開かれた都政に

ICTの活用が官民問わず重視され、デジタルガバメントの動きが進んでいます。都政においても、学研究者による事業提案制度で 都民が道路の損傷を見つけた際にアプリを介して行政に通報できる仕組み(My City Report)、いつでも質問できるAIチャットボットや、行政手続きワンスオンリーなど、ICTを活用した事業がいくつも出てきています。しかし、現時点ではこのようにテクノロジーを活用したものは広範な東京都の事業全体からすれば限られた分野に留まります。

Q3:膨大な行政需要を持つ東京都は、最小のコストで最大の成果を上げていくために、積極的にICTをはじめとしたテクノロジーを活用していく方向に、より一層舵を切るべきと考えます。更に他自治体の見本となるような成果を次々と出すことが期待されますが、見解を伺います。(戦略政策情報推進本部長)

〇 昨年8月には、TOKYO Data Highway基本戦略を公表し、これまで以上に官民共同した取組を進めていくこととした。また、昨年末に公表した長期戦略ビジョン、新たな都政改革ビジョンでも、5Gをはじめとする高速モバイルネットワーク及びICTなど先端技術を積極的に活用していくことをうたっている。
〇今後とも、都は、幅広い分野でテクノロジーを活用した施策を展開し、都市のデジタルシフトを進め、好事例を積極的に発信していく。

都市間競争におくれる東京、産学官連携でイノベーションをおこす

シンがポール政府は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、約5000億円を超える経済支援パッケージを発表しました。平常時にイノベーションによる成長を掲げ、取組できたからこそできる対応です。東京にもイノベーションによる経済成長が重要なことは言うまでもありません。
前回私の質問で、第4次産業革命を牽引する企業のエコシステムを構築すべき、と提案しました。それに対して知事より、「都を中心とした産学官連携のイノベーション・エコシステムを構築していく」と力強い答弁をいただきました。その後、プロジェクトのキックオフには私も参加させていただきましたが、期待感のある取組であると実感したところです。その後、約1年が経過しました。

Q4:イノベーションエコシステム形成について今までの成果について伺います。(戦略政策情報推進本部長)

・ 都では今年度、地域の自律的なエコシステム形成を促進する観点から、大手町・丸の内・有楽町、渋谷、虎ノ門・赤坂・六本木など、イノベーション創出に資する取組を行うエリアを認定し、エリア内の各プレイヤーが連携して取り組むプロジェクトの支援を実施

・ 例えば、渋谷エリアにおいては、各プレイヤーが連携のもと、センサーやアプリ等、複数の解析手法を活用した人流調査が行われるなど、それぞれのエリアで、都の社会課題解決に資する具体的な実証実験等の取組が展開

激化する都市間競争に打ち勝つには、エコシステムの中でも、東京発スタートアップ育成には特段の力を注ぐべきと考えます。

Q5:昨年より実施してきたイノベーションエコシステム形成の取組と今回新たに開始したスタートアップ・エコシステム・東京コンソーシアムは、今後どのように関連していくのか伺います。(戦略政策情報推進本部長)

・ 本年1月に設立した「スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム」は、これまで都が形成を支援してきた各エリアの取組に、大学やテーマ別連携の視点を付加し、広域でのエコシステム形成を目指すもの

・ この東京コンソーシアムが、尖った技術を持った人、企業、資金が集まり、化学反応が生じるようなプラットフォームとなり、それがさらに人や企業を惹きつけ、そこで育ったスタートアップが海外でも大きく活躍する。そのような好循環を、産学官一体となって実現させていく

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