杉並区商店会補助金不正受給と桜を見る会の共通項とは

今週の政治ニュースは桜を見る会の追及劇に関するものが大半を占めていた。
一方で私の地元である杉並区では、今年夏頃に発覚した「杉並区商店会の補助金不正受給」の問題が議会や調査委員会により事実関係が解明され事態収集されつつある。

しかし、一部の人にしか問題を認識されないまま、風化させるべきではないので、私見も混えて書き記しておきたいと思う。

杉並区商店会による不正受給の概要

東京都の商店街振興事業(商店街が行うイベントや祭りに対して補助金を出すもの)に対して、杉並区の「西荻おわら風の舞」「ハロー西荻」という2つの事業は4、5年間にわたり「領収書の偽造」と「協賛金未計上」により経費を過大に申告して補助金の水増し請求をおこなっていた。

<経緯>

東京都は杉並区に対して交付した該当する補助金と違約金を過去に遡って返還請求を行った。(7/10)

補助金総額19,256,000円+違約加算金額:4,975,723円 合計24,231,723円・・・東京都から杉並区への請求額①

それに対して、杉並区は臨時議会にて補正予算を計上し都に上記の金額を返還することを決定。(8/1 )

杉並区は「西荻おわら風の舞」「ハロー西荻」を主催する商店会に対して、東京都へ返還した金額(上記①)及び杉並区が交付した補助金のうち不正な金額と利息を合算した額を返還請求。

24,231,723円(上記①)+5,214,180 円=29,445,903 円…杉並区から商店会への請求額

<報道>

杉並・西荻窪の商店会連合会 補助金を不正受給か(7/10)

西荻窪の商店街「補助金不正受給」で 東京都が検査へ(8/30)

<東京都の発表>

商店街による補助金不正受給に関するとの対応について

<杉並区側の発表、報告>

区長の記者会見

検証委員会設置、進捗報告

検証委員会の最終報告

食い違う主張、関係者ごとに異なる認識

前節でご紹介した情報ソースを見るだけでも、東京都、杉並区、当該西荻商店会関係者 3者における主張、事実認識がずれていることがわかる。

東京都:

確たる証拠に基づいて不正を指摘。交付要綱の第17号「(1)偽りその他の不正の手段により補助金の交付を受けたとき」に該当する事案として、交付の取り消し、全額の返還請求を行った。

杉並区:

区による協賛金の取り扱いに関する説明及び補助金の審査については、いくつかの 説明不足や不明瞭とされる点が認められるものの、不正を発見できなかったことについて、区に法的責任があると は言えない。
(担当職員は「趣意書等を使って協賛金を集めていたこと自体を知らなかったので、そのような指導はしていない」、「花かけの存在についても把握していなかった」と証言)

不正に関わった西商連関係者:

協賛金の扱い方は区の指導通りにしてきた。

桜を見る会の問題との共通点(考察)

これ以降の内容は、地元の商店街関係者から得た情報に基づいた私個人の推測を含む見解であり、公の事実ではないことを、まずご了承いただきたい。

今、世間で話題の桜を見る会においては、証拠隠滅とも思えるシュレッター済み、データが残っていないという事で揉めている。この手の問題は、なかなか真相が解明されにくいという事だろう。

そもそも、桜を見る会において、何が問題視されているのかというと、公金(税金)を使って特定の政治家(安倍総理)が自身の支援者らをおもてなし(利益供与)をしている点だ。

ちなみに公金を使わないとしても、政治家が自身の選挙区民である有権者に利益供与することは公職選挙法で原則として禁止されているのだが。

古いスタイルの政治が引き起こした問題か?

さて、今回の杉並区商店街で起こった不正受給問題の本質的な構造はどうだろうか?
表面的には不正をした商店街が悪者になっていて数千万円もの補助金の返還を杉並区に求められているという状態だ。

一方、当該西荻商店街の関係者からは、

「杉並区の担当職員も事実を認識していたはずで、分かったの上で承認したのに梯子(はしご)を外された。」

という声も地元の商店街関係者経由で聞こえている。

更に、この手の古くからある補助金の支給には大抵の場合、歴史的に地元の政治家が絡んでいる。今回は杉並区の都議や区議になるのだろう。

参考:松本みつひろ杉並区議のブログ

「◯◯先生にお願いすれば補助金がもらえる」、「◯◯先生のおかげでxxxが成立した」という形で政治家は地元の有権者に対して便宜を図り、自身の力を示すのが生き残る上での正攻法だった。

今でも、ここかしこにその名残が残っているだろう事業が都政においても散見される。

ただしそれを立証して廃止させるのは証拠を集めることはなかなかできないので、内部告発や世論が盛り上がらない限り、詰め将棋のように時間をかけてやめさせる方向に持っていくことになる。

都民ファーストではそのような事業の見直しや廃止についてもジリジリと進めている。政治的にデリケートなので、あまり大っぴらに情報を出せないことは残念だが。

つまり、古い政治のスタイルでは政治家が地元の有権者への利益供与のために公金を利用するというのが普通に行われていると思った方がよい。

(杉並区でも歴史のあるお祭りの中には、古くからいる議員だけが来賓として呼ばれて、同じ立場のはずだが我々のような新人にはお声がかからないことも多い。)

職員に対して圧倒的な力をもつ、ベテラン与党議員

正当な事業に、正当に公金が使われて、地元に還元されるようにするのは政治家としての本来の仕事であるので、「◯◯先生にお願いすれば補助金がもらえる」、「◯◯先生のおかげでxxxが成立した」というのは、良いことか悪いことか、一概には言えない。

議員は有権者から選挙で選ばれた代表であり、議会を尊重する上でも、行政職員は議員に対して非常に低姿勢である。都議選の前にも、一部の議員(通称ドン)が職員の人事権を実質口出すような事態になっているため、都の職員の一部は有力な議員の顔色を伺い、御用聞きやゴマスリが仕事のようになっていて、二元代表制が形骸化しているというのは聞いていた。

実際に内部者になってみて感じるのは、行政職員の方は議員に対して失礼があってはならないという気概をお持ちで、最上位の敬意を払って接していただいているということだ。

それ自体は大変素晴らしいことだが、ややもするとNoと言いにくい関係であり、特にドンとまでは言わなくとも、期数の多いベテランの与党議員には、あまり頭が上がらない、何か問題があっても目をつぶるということが発生してもおかしくない土壌であると感じる。

今回について杉並区職員と杉並区議の間でそのような馴れ合いが発生したのかどうかは定かではないが、行政職員と議員の関係は、杉並区に限らず、不健全になりやすい構造だということは指摘しておきたい。

健全な政治のためには

政治家の弱み(選挙で票を頂かないと生き残れない)につけ込んで、利益供与を求める有権者も減ってきたが、まだまだ健在なのは確かだ。

政治家が襟を正して行動するのは当然だが、有権者としても政治家に健全な政治させるため、公正な対応をお願いしたいところだ。

という事で、桜を見る会と杉並区商店街の問題の共通項があるとすれば、「政治家(地元議員)が自身の票集めのために公金が投入されている事業をうまく使っていた可能性がある」、ということになるだろう。

ただし、その可能性は排除できないというだけで、確たる証拠があるわけではないので、おそらく解明されることはないのがとても残念である。

最後に

このような行政が出す補助金の不正を検知するのは実は簡単ではない。もちろん全件について書面審査を実施して、確認が必要と思われる場合はヒアリングなども実施しているだろうが、不正する隙が一切ないかといえばそんなことはないだろう。

今回、勇気を持って内部告発をしていただいた関係者の方には心より敬意を表したい。

もう一点、今回杉並区にとって大変な汚名となってしまった不正事件なのだが、インタビューを見ていただけばわかる通り、一般の住民の方をはじめ、杉並区にある他の商店街関係者たちは、

不正なんて絶対いけない。しっかりと再発防止に努めて欲しい。

と口を揃えておっしゃっている。ほとんどの商店街関係者は非常に誠実に地域活性化のためにご尽力いただいているわけだから、ごくごく一部の人物の責任で、このような大きな不正事件となってしまったことには大変憤りを感じておられる様子だ。

古くからある政治のやり方の中には、悪習が存在することが明るみになってきたので、これからの政治を作っていく立場として、反面教師にして頑張っていきたい。

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