平成30年度第三定例議会では、2つの目玉となる議決があります。

その一つは工業用水道事業の存廃についてのものです。私は公営企業委員会の一員として、この重要な案件の質疑、および意見表明に都民ファーストの会を代表して立たせて頂きました。

連合審査会での質疑の様子

要点だけをまとめますと(詳しくは後日議事録として公開されます)

  • 工業用水道事業は近年、毎年7億円のマイナス収支。ユーザー減少に伴い更に赤字額は増加見込み。
  • 設備の老朽化に伴い、事業継続した場合の施設更新費用は2,328億円。
  • 包括外部監査にて14年前から廃止に向けて進めるべきとの指摘を受けていた。
  • 歴代知事(石原、猪瀬、舛添)および当時の都議会は、複雑な利権構造があることから、しっかり審議されることなく放置され続けてきた。

以上のような背景から、今回の小池知事から廃止に向けて進めるという方向性を示された事は歴代の知事にはできなかったことであり、大変意義深いことであります。

また、証人喚問や連合審査会という異例の形式をとり、長時間にわたり審議を繰り返しました。

更に、各会派の意見やポジションが、真っ向から異なっているというのも、公営企業委員会の案件では大変珍しいことでもありました。こちも簡単にまとめますと、

  • 都民ファーストの会:ユーザーに配慮し、十分な支援を行いつつも、廃止にむけて速やかに進めるべき。ユーザー以外、都民に対する説明責任のため公平性に配慮すべきであり、原則として支援策案で進めつつ、その見直しについても否定はしない。
  • 公明党:ユーザーに配慮し、十分な支援を行いつつも、廃止にむけて速やかに進めるべき。ユーザーへの産業支援の側面があることから、経営が立ち行かなくなることのないよう支援をしっかりと。
  • 自民党:もっと時間をかけて審議すべき。審議不十分なため判断できない。ユーザーには地下水がダメなら河川や再生水なども検討すべきでは。ユーザーの経営が立ち行かなくなったらどうするのか。
  • かがやけ&立憲民主党:支援策のうち料金差額補填期間が長すぎる。ユーザーへの支援が手厚すぎるためユーザー以外との水道料金の公平性に課題。都民の納得を得られない。

証人喚問では、各会派15分 × 6会派

連合委員会では、各会派70分 × 6会派

委員会質疑でも、3時間程度

と、事前の打ち合わせ会や理事会まで含めると2〜3日は審議を繰り返したことになります。

それぞれの会派の主張は一部一致するところもありながらも、それぞれ異なるものでありました。ある意味、それぞれが主張した上で議決できましたので、通常以上に民主的に存廃判断ができたのではと感じます。

これ以上の時間をかけて審議することで、何か結論が変わるものではありません。自民党の主張する、より時間をかけてじっくりと審議すべき、というのは的を射ていませんし、単に時間を稼ぐための工作と思われても仕方がないでしょう。

今まで14年も放置してきた課題なのですし、廃止以外の打開策は見出せなかったわけですから、廃止について判断を先送りする理由はないと考えます。

皆さんは、どのようにお考えになりますでしょうか?

議事録はまだ掲載されていないようですので、以下に都民ファーストの会として私が発言した内容(概要)を公開させていただきます。正式な議事録ではごぜいませんので、あらかじめご了承ください。

9/28連合審査会での質疑骨子

10/2公営企業委員会での意見表明

工業用水道の課題は、歴史も古く、様々な要素が絡み合っていて、一般の都民の方には非常に理解しがたい課題だと思います。私も今回質疑を担当させていただくにあたり、様々な立場があり、それにより異なる意見を知ることで、大変勉強になりました。また、内容以外にも、他会派との交渉や委員会、審議会などにおけるルールの複雑さも体験し、ようやく少し都議会の伝統や運営について理解できたこともありました。

一方で、都民の皆様に分かりやすく伝えるのは、かなり難題ということも痛感しました。政治の課題は利害関係者が複数ありますし、歴史もからみ、感情もからみ、お金の問題も絡み、本当に複雑で、簡単には白黒はっきりとはいかないものばかりです。しかし、企業に比べれば非常にスピードが遅いですが、それもまた時には必要なこと、丁寧に進めないといけない、というのも理解できるようになりました。

丁寧な利害の調整、意見の調整があってこそ、民主主義が一歩ずつ前進するのだなと身をもって理解ができた委員会でありました。