総務委員会所管の政策企画局 事務事業質疑を担当しました。都民ファーストの会 都議会議員の あかねがくぼ かよ子です。
岸田内閣でも経済成長の柱とされているスタートアップ支援ですが、私も4年前から問題意識をもっており、都議会でも再三指摘してきたところです。
目次(クリックで各項目へジャンプします)
成長が止まった日本は世界に取り残されている
スタートアップ支援の重要性について、私は都議会議員一期目初年度から訴えてまいりました。およそ3年前の第4回定例議会の一般質問にて「都を中心としスタートアップを含めた新産業エコシステムを構築しイノベーションによる成長戦略につなげるべき」と提案しました。
その翌年つまり2年前には、大手町・丸の内・有楽町、渋谷、虎ノ門・赤坂・六本木など都内各地で自律的なイノベーションエコシステムの形成にむけた取組が始まりました。海外のスタートアップ誘致に力点をおいた取組でありましたが、私はその時から、世界の都市間競争に勝ち抜くためには、外国企業に頼るのではなく、日本・東京発のスタートアップ育成には特段の力を注ぐべきと訴えてきました。
そして昨年1月に設立した「スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム」は、これまで都が形成を支援してきた各エリアの取組に、大学やテーマ別連携の視点を付加し、広域でのエコシステム形成を目指すものであります。
この東京コンソーシアムに都が取組む意義について、私の令和2年第1回定例議会の一般質問に対して、以下のように答弁いただいています。
「尖った技術を持った人、企業、資金が集まり、化学反応が生じるようなプラットフォームとなり、それがさらに人や企業を惹きつけ、そこで育ったスタートアップが海外でも大きく活躍する。そのような好循環を、産学官一体となって実現させていく」
また「未来の東京戦略」の中では「2040年の姿として次々と新しい産業が生まれる、世界一のスタートアップ都市を目指す」とされています。
このようなビジョンの下で推進されてきた、スタートアップエコシステム東京コンソーシアムですが、
Q1 これまでの会員数の推移と会員数拡大に向けた取組について
またスタートアップにとって東京コンソーシアムに加入するメリットについて伺います。
A1(特区推進担当部長)
・都や構成団体からコンソーシアムの活動を周知
・企業、大学、VC、自治体など多様なプレイヤーに参画を働きかけ
・設立当初の会員数は113、本年10月末では258と増加
・スタートアップは、交流機会の提供、情報連携等を通じて他会員とのマッチング、投資・助言の支援等、ビジネス拡大のための様々な機会を享受
順調に加入するプレイヤーが増えていることはわかりました。
加入企業リストを拝見すると、大学系や大企業系のVCなどが多く参画しており、目標としていた産学官の連携という要素が実現している点は評価するところ。
縦割り組織を超えてALL都庁でスタートアップを支援すべき
一方で、優秀なアントレプレナー、潤沢な資金、それぞれが集まって化学反応を生じさせるためには、より一層、参加プレイヤーの層を厚くしていくことが必要です。スタートアップの状況は日々刻々と変化しますし、栄枯盛衰も激しいですので、将来性のあるスタートアップをいち早く見つけ、都の関与によって有用な支援が受けられるようすべきです。
例えば、産業労働局の成長期のスタートアップ向けの支援には
「実証実験促進事業「PoC Ground Tokyo」」
「広域展開に挑むスタートアップとそれを支援する企業、大学、自治体、VCをつなぐコミュニティ『NEXs (ネクサス)Tokyo』」
「海外展開を支援するX-HUB TOKYO (ACCELERATOR) 」
「女性企業家の海外展開などスケールアップを支援するAPT Women」
「世界発信コンペティション」
などがあります。これら以外にも、創業準備段階、初期段階向けの支援も含めれば、更に数多くのスタートアップがすでに東京都との接点をもち、何らかの創業支援を受けている。
それぞれの支援プログラムの中で、一定の評価を受けているスタートアップについては、この「東京コンソーシアム」の一員になってもらうのが当然望ましいと考えます。そこで
(Q2)今後、成長が見込まれるスタートアップの東京コンソーシアムへの加入を促進する上では、庁内各局における事業との連携が重要と考えるが、どのように取り組んでいくのか伺う。
A2(特区推進担当部長)
・内閣府が今年度実施するアクセラレーションプログラムへ推薦企業を募る際、デジタルサービス局等を通じて呼び掛け、都事業に参画したスタートアップが応募
・コンソーシアムの交流イベントに、デジタルサービス局の「Blockbuster TOKYO」選抜企業を招き、交流促進予定
・庁内各局と連携し、スタートアップの参画に向けた取組を進める
デジタルサービス局との連携が進んでいるということがわかりました。
今後も、産業労働局の各種プログラムに参加しているスタートアップも含めてスタートアップエコシステムの一員ですので、有望な企業が取りこぼしなくコンソーシアムに参加していただけるよう連携を強めていただきたい。
スタートアップエコシステム・世界ランキング
冒頭に申し上げましたが、私は世界の都市間競争において、世界で通用するユニコーン企業をはじめとする、スタートアップエコシステムが都に形成されていくことが重要だと、都議会議員1期目から申し上げてきました。
都は「未来の東京戦略」において、2030年にスタートアップエコシステムランキングの世界5位以内にするという目標を掲げています。
米国調査会社のスタートアップ・ゲノムが今年9月に発表したスタートアップエコシステムランキングで、東京は前年の15位から9位に上昇しています。政府主導のスタートアップ支援や「スタートアップ・エコシステム・東京コンソーシアム」の設立が評価された結果とのこと。
近年、スタートアップ育成環境が劇的によくなっていることは間違いないところです。
(Q3)更なるランクアップに向けて、東京コンソーシアムでどのような取組を進めていくのか伺う。
A3(特区推進担当部長)
・グローバル化を進めるため、推進WGを設置
・外国企業誘致の窓口強化、東京のPR等を実施
・新たな取組として、海外展開を視野に入れ、成長が見込まれるスタートアップを集中的に支援する「ディープ・エコシステム」の取組を実施
・ユニコーン級への成長を後押しするため、2社のスタートアップに対して、海外進出に向けたビジネスプランの策定等の支援を開始
通常の支援に加え、更に集中的にユニコーンの排出を目指す取組である「ディープエコシステム」を実施しているとのこと。
ユニコーンの候補を見つけ、育成支援していくためには、東京コンソーシアムに参加する有望なスタートアップを増やすことがまず重要と考える。
また、先ほどのエコシステムランキングの中で東京都への評価の詳細をみると、エコシステム内のイノベーションを創出する関係者同士のつながりが極端に世界の他都市に比べて低かった。
「エコシステム内での関係者同士のつながり」が改善点ということなので、東京コンソーシアムに求められる役割は大きい。関係者同志のつながりがよくなれば、スタートアップエコシステムランキングも上昇し、ユニコーン級の企業が育っていくことにつながるはずなので、しっかり取り組んでいただきたい。