都民ファーストの会議員団女性活躍推進本部として、東京都男女平等参画推進総合計画改定に関する要望を所管局の生活文化局部長へ提出しました。
東京都男女平等参画審議会 答申案(中間のまとめ)概要https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/10/18/documents/09.pdf
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東京都男女平等参画推進総合計画とは
都は、平成 12 年に全国に先駆けて「東京都男女平等参画基本条例」を制定、同条例に基づき、平成 14 年1月には最初の行動計画を策定しました。平成 29 年3月には、平成 27 年に制定された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づく「女性活躍推進計画」と、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に基づく「配偶者暴力対策基本計画」の両計画を合わせて「東京都男女平等参画推進総合計画」を新たに策定しました。
この総合計画の計画期間は令和3年度末で終了することをうけ、知事は、令和3年4月に、東京都男女平等参画審議会に対して総合計画の改定に当たっての基本的考え方を諮問しました。審議会が作成、10月18日に公開された「東京都男女平等参画推進総合計画の改定に当たっての基本的考え方(中間のまとめ)」について、以下、要望いたします。
若者の声を反映する場を設けること
「東京都女性活躍推進計画関係」の「第一部 基本的考え方」の「3 目指すべき男女平等参画社会の実現に向けて」の中で、「最も重要なことは、一人一人が男女平等参画社会の実現のために行動していくことです。そのためには、誰もがいきいきと活躍できる社会の「仕組みづくり」を進め、さらに一人一人の意識改革と理解を促進することが大切です。」とあり、特に以下の取り組みが重要であるとしている。
- 誰もが安心して働き続けられる社会の仕組みづくり
- 根強い固定的性別役割分担意識等の変革
- 男女間のあらゆる暴力の根絶に向けた多様な主体による取組
(1)の「誰もが」には若者も含まれている。「固定的性別分担意識等の変革」には教育はじめ若者を取り巻く環境が重要であり、「男女間のあらゆる暴力」はデートDVに代表されるように若者にも起こりうる問題である。それにも関わらず、本審議会の審議員には若者がいなく、若者に関する記載は就労に偏っている。早期に若者の意見を聞く場を設け、計画に反映できるようにされたい。
都民等による第三者評価と意見交換を計画に盛り込むこと
「東京都女性活躍推進計画関係」の「第一部 基本的考え方」の「4 計画の推進」の中で、「その達成状況を第三者機関において把握していくことが必要です。」との記載があるが、これ以降、第三者機関に関する記載がない。加えて、市民には、達成状況を把握するだけでなく意見を述べる機会も必要である。目黒区や東久留米市では、既に住民と意見交換する場が設けられている。都の計画の推進においては、都民による第三者評価と意見交換の仕組みを設けられたい。
痴漢の実態調査の実施と被害者への対応の改善を計画に盛り込むこと
「東京都配偶者暴力対策基本計画関係」の「Ⅱ 性暴力被害者に対する支援」の「現状・課題」の中で、「都内の迷惑防止条例における痴漢被害等の検挙件数は、平成 28 年から令和2年までの5年平均で約 1,700 件で推移しています。」との記載があるが、犯罪の性質上、実際にはその数倍、あるいは数十倍の被害が発生しているともいわれる。若者からは通学路における痴漢被害に加え、通報の仕組みやその後の対応に関する様々な課題が寄せられている。若者へのヒヤリングを経たうえで、痴漢の実態を把握する調査の実施と、被害者への対応の改善を計画に盛り込まれたい。
配偶者暴力対策における、民間団体による活動を持続可能にするために必要な支援の実施を計画に盛り込むこと
「東京都配偶者暴力対策基本計画関係」の「第1部 基本的考え方」の「4 配偶者暴力対策を進めるに当たっての中心的視点について」では、「「都の配偶者暴力相談支援センターの充実」と「区市町村・民間団体等の支援及び連携」を両輪としながら、今後の取組を積極的に推進していく必要があります。」と記載があるが、民間団体の持続性には大きな課題があり、令和2年には多摩の団体が解散するなどしている。「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」によれば「地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする。」とある。民間団体の運営実態の調査・把握と、民間団体による活動を持続可能にするために必要な支援の実施を計画に盛り込まれたい。
女性役職者比率30%に向けた実効性のある計画を策定
世界経済フォーラムが毎年公表するジェンダーギャップ指数の順位が、令和3年も156か国中120位と、先進国の中で最低レベルという状況が続いている。特に政治と経済の分野でのスコアが低い。都はこれまでも女性の役職者比率向上に向けた取り組みをしているが、対象が限定的であった。都内企業における女性役職者比率の目標値を掲げるとともに、わが会派の提案により実現した、都内中小企業の4割が利用する制度融資において、女性活躍に関する指標を国のデータベースに公開するだけで融資条件を最も厚遇する事業を広く発信・活用するなど、女性役職者比率の高い事業者に対するインセンティブを設計するなど、機運醸成や啓発にとどまらない、実効性な計画を策定されたい。
女性の収入増に向けた実効性のある計画を策定すること
女性の年代ごとの就労率のグラフの、子育て世代の就業率が下がった状態を示す、いわゆるM字カーブが解消されつつあるが、女性の就労者の7割は非正規雇用であり、平均賃金が男性の7割にとどまるだけでなく、コロナ禍でも雇用調整により経済的ダメージを大きく受けた。「東京都女性活躍推進計画関係」の「III多様な人々の安心な暮らしに向けた支援」「Ⅲ.多様な人々の安心な暮らしに向けた支援」のグラフ「1 ひとり親家庭への支援「母子世帯と父子世帯の平均年間収入(平成 29 年度:東京都)」にデータが示されているように、ひとり親でも母子世帯が困窮しやすい。短期大学も含めれば女性の大学進学率は男性と同等であり、習得した知識・スキルを社会で十分生かせていないといえる。民間では、平均年収相当の収入を得ることを目的にした就労支援を行い、実績をあげている団体もある。都内女性就労者の賃金の目標値を掲げるとともに、これまでの再就労支援に加え、女性の収入増に向けた実効性のある計画を策定されたい。特にシングルマザーなど経済的自立が必要な女性に対しては、福祉的な支援や貸付だけでなく、収入を増やせるような伴奏型の自立支援を実施されたい。
男性の育児休職取得に向けた実効性のある計画を策定すること
「東京都女性活躍推進計画関係」において、男性の育児休職取得に関して多くの記載があることを評価する。都はこれまでも男性の育児休職取得に向けた取り組みをしているが、対象が限定的だったり、機運醸成にとどまるなどしていた。一方、中小企業からは育児休職を取得した場合の代替要員の確保が難しい、従業員からは取得した後の身分保障の課題などの具体的な課題が寄せられている。都内企業における男性の育児休業取得率の目標値を掲げるとともに、育児休業取得を阻害している要因を調査し、機運醸成にとどまらない、男性の育児休職取得の阻害要因を踏まえた実効的な計画を策定されたい。
ひとり親世帯の困窮解消にむけ「養育費建て替え制度」の利用を促進すること
都内のひとり親世帯の養育費の受給率は約2割にとどまり、ひとり親世帯の貧困率が5割を超える要因となっている。わが会派の提案により、都は、相手からの養育費の支払いが滞った場合の養育費の立て替えと債権回収を代行する民間保証会社と契約する際に支払う保証料の半額を補助するとともに、養育費の取り決め率や支払率を向上させるための普及啓発についても支援しているが、利用率はまだ低い。ひとり親世帯の困窮解消に向けて、「養育費建て替え制度」の普及啓発の強化と利用率向上に努められたい。
ライフプランの検討の推進を計画に盛り込むこと
「東京都女性活躍推進計画関係」では出産に関する記載はあるものの、就労との両立の観点でしか書かれていない。福岡市では、30 歳になる女性を対象に、健康や将来の生活を考えるきっかけ作りとなるよう、医療機関で卵巣にある卵子の目安を知る血液検査と医師からの助言をうける「プレコンセプションケア」にかかる費用への助成を始めた。仕事と結婚・妊娠・出産を両立するためにも、若者が早い段階でライフプランを作成することを促す取り組みを計画に盛り込まれたい。
以上