東京都都議会議員・杉並区担当 あかねがくぼ かよ子 です。
今、「ソーシャルファーム」が注目されています。荒木ちはる 都民ファーストの会党代表もちょうどツイートしていました👇
少しずつではありますが、ソーシャルファームは認知も広がってきている、社会的に重要なことです。
私あかねがくぼも都議会議員1期目より、ソーシャルファーム事業や関連条例制定に携わらせていただいており、ようやく形になってきたと実感しているところです。
👇2019年ソーシャルファームについて書いた記事
https://a-kayo.com/1021.html
まだまだこれからですが、前進させていけるよう頑張ってまいります。そこで今回はソーシャルファームについて、わかりやすく説明させていただきます。
目次（クリックで各項目へジャンプします）
ソーシャルファームとは
公益財団法人東京しごと財団によると「ソーシャルファーム」とは、下記のように定義されています。
自律的な経済活動を行いながら、就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受け、他の従業員と共に働いている社会的企業のことです。今後都は、ソーシャルファームの創設や活動を促進していきます。
引用：公益財団法人東京しごと財団HPより（https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/social-firm/abouts/）
ソーシャルファームを直訳すると「社会的企業」。社会貢献的な役割を担っている企業とも言い換えることができます。
発祥の地は1970年代のイタリアと言われています。
その後、ドイツ、イギリス、オランダなどヨーロッパを中心に発展し、アジア圏では韓国で2006年に制度ができたそうです。
日本財団によると、日本国内でも就労に困難を抱える方は1,500万にも上ると推計されています。
こうした方々が雇用の機会を得ることで経済面だけでなく、孤立を防ぐ、生きがいややりがいを見つける、健康づくりに寄与するといったことにもつながると考えられています。
ソーシャルファームに対する支援
ソーシャルファームが進んでいるヨーロッパの例では、下記のような支援が行われています。
・ソーシャルファーム設立費用に対して国から補助金を支給
・ソーシャルファーム設立から数年間、人件費を支援
・ソーシャルファームが提供する商品、サービスの消費税を軽減
ソーシャルファームの例
ソーシャルファームは基本的に業種業態を問いませんが、具体事例として下記の事業があります。
・農業（オーガニック等の栽培、販売など）
・レストラン運営
・カフェ運営
・清掃事業
・一般企業
一つの事業にとどまらず、複数の事業を連動して行うことで雇用の場を増やすといった工夫をされているケースもあります。
ソーシャルファームが対象とする「就労に困難を抱える方」「働きづらさを抱えている人」とは
様々な方が対象になり得ますので、何らかの条件で限定されているものではありません。例えば以下のような方々が対象になると考えられています。
・病気、怪我等でお仕事を辞められた方、難病療養中の方
・障害を抱えておられる方
・ひきこもり経験の長い方
・ひとり親家庭などで困難を抱えている方
・前科のある方
なお、ソーシャルファームで働かれる方々と企業・団体は雇用契約を結び、最低賃金以上が保証されています。
ソーシャルファームの課題
ソーシャルファームの課題は、「利益を上げ、事業として継続させていくこと」と言われています。
ソーシャルファームは、設立時や運営に関して様々な支援が用意されているものの、事業として軌道に乗せるのは簡単なことではありません。
働かれる方も、様々な背景からすぐに仕事に慣れたり、職場に馴染んだりといったことが難しいケースもあります。
そのため補助金や給付金でまかない、なんとか事業を行なっていることが少なくないのです。
今後はさらにソーシャルファームが通常のビジネスとして事業を継続していけるような仕組みを、充実させていくことが重要と考えます。
ソーシャルファームについて東京都の取り組み
東京都議会では、全国に先駆けソーシャルファーム設立に向けての条例が成立しました。
2018年9月に東京都民に対して、就労支援に関わる新たな条例の検討に入ることを表明。11月に第一回有識者会議を開催し、1年かけて8回の会議、国内外の事例を調査しました。
2019年8〜9月にかけてはパブリックコメントを行い、12月に条例案が東京都議会に提出されました。
そして12月25日に「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」として交付、施行となった経緯があります。
東京都議会にてソーシャルファームについて一般質問
2022年2月16日「令和４年第１回定例議会」にて私あかねがくぼも、ソーシャルファームについて一般質問をさせていただきました。
その質問と回答内容は下記にまとめていますので、ご覧ください。
https://a-kayo.com/3855.html#i-3
東京都認証ソーシャルファームが杉並区に
東京都認証ソーシャルファームの一つに杉並区にある「リコルス浜田山」があります。
設立のきっかけとなれたことは大変光栄です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
日本初！東京都認証ソーシャルファームが浜田山に誕生（https://a-kayo.com/3289.html）
東京都のソーシャルファーム認定事業者について
ソーシャルファームを発展させていくため、働きづらさを抱えている方への支援や雇用を積極的に行う企業に対して「ソーシャルファーム認定事業者」として認定しています。
財政的支援だけでなく、雇用に関する相談やコンサルティングも受けられるように制度を整えています。
東京都のソーシャルファーム認定事業者が受けられる支援
例えば以下の支援を受けられます。
●事業所の改修経費や就労に困難を抱える方の人件費等への補助
・創設期の補助
事業所の改修経費等に補助（初年度のみ：補助率3分の2）
・運営期の補助
事業所賃借料、就労に困難を抱える方の人件費・就労訓練経費、販路開拓費等に補助（1～2年目：補助率5分の4 3～4年目：補助率3分の2 5年目：補助率2分の1）●コンサルティング支援
東京都HPより（https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/03/05/11.html）
中小企業診断士や社会保険労務士等の専門家が経営や雇用をサポート
なお、東京しごと財団の各ページから認定事業者やソーシャルファームの事例、補助金、相談・支援情報等を確認することができます。
👇認定事業者一覧
https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/social-firm/companies/certification/
👇事例
https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/social-firm/cases/
👇補助金申請について
https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/social-firm/hojo/
👇相談・支援
https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/social-firm/access/#access
東京都のソーシャルファームについてお問い合わせ先
（公財）東京しごと財団 雇用環境整備課 ソーシャルファーム支援係
東京都千代田区九段北一丁目１０番９号 九段VIGASビル２階
（東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下」駅５番出口徒歩２分）
電話番号：03-5211-1600（平日10時～12時、13〜16時）
東京都ソーシャルファーム賛同企業・団体について
ソーシャルファーム認定事業者ではないけれど、今後目指したい、ソーシャルファームに積極的に取り組みたい、支援したい企業・団体は「東京都ソーシャルファーム賛同企業・団体」として認定を受けることができます。
東京都ソーシャルファーム賛同企業・団体に認定される条件
条件は下記の通りです。
(1)東京都が進めるソーシャルファームの創設及び活動の促進の取組に賛同していること
引用：公益財団法人東京しごと財団HPより（https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/sandou/）
(2)以下のａ～dのいずれかに該当していること
ａ ソーシャルファームの創設・運営を検討していること
ｂ 就労に困難を抱える方の雇用を実施もしくは検討していること
ｃ 就労に困難を抱える方の就労支援等を行っていること
ｄ ソーシャルファームの普及への協力、会員への情報提供などが可能であること
東京都ソーシャルファーム賛同企業・団体になるメリット
東京都ソーシャルファーム賛同企業・団体認定されると、ソーシャルファームに関する情報を優先的に得られるほか、相談等にも乗ってもらえます。
また「東京都ソーシャルファーム賛同企業」、「東京都ソーシャルファーム賛同団体」の名称を利用することができます。（「東京都認証ソーシャルファーム」とは異なります）
ソーシャルファームを充実、強化させていくことは、社会的にも大変意義のあることと考えます。
私は、今後も日本全国の参考になるような前例を作っていけるよう、引き続き東京都議会で働きかけをおこなっていきます。
参考リンク
https://www.social-firm.metro.tokyo.lg.jp/