私はH30年第4回定例会の一般質問において、「第四次産業革命を牽引できる企業をスタートアップも含め数多く誘致する必要があり、都を中心とした新産業エコシステムを構築することで、今後の成長戦略につなげるべき」と提案しました。それに対して知事より、「先進的な技術を有する海外企業を誘致し、産官学の関係者が連携してエコシステムの形成に向けた検討を始める」と答弁をいただいた。
その後3年が経過し、世界では、「グリーン」と「デジタル」の新たな潮流が生まれています。都においても産官学の幅広い主体との連携の下、スタートアップの創出と成長を支えるエコシステム形成の取組を推進することが来年度の成長戦略の一つに位置付けられています。
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パートナーシップ支援事業について
都はこの間、多くの先端的な技術を有する外国企業を都内へと誘致していますが、その恩恵が都内の企業にも伝播することが重要です。
この点についてはちょうど3年前の予算特別委員会でも質疑をしていただきました。
(Q1)
都は誘致した企業と都内企業とのビジネスマッチング支援も実施している。本事業におけるこれまでの取組と成果を伺う。
(A1)(特区推進担当部長)
・平成30年から開始したパートナーシップ支援事業は、毎年250件以上の外国企業と都内企業との引き合わせ。
・例えば令和2年度は、33社の外国企業に対して、個別紹介型と商談イベント活用型を合わせ259件の都内企業との引き合わせを実施。このうち、個別紹介型については99件実施し、うち8件は当該年度内の商談成立を確認。
・このほかにも、商談成立には至っていないが、都内企業との実証実験やプラットフォーム共同開発などの協業に向けた具体的な商談の進捗を確認。
・また、都側から外国企業にウェブ会議やメールなどにより総計1335回のコンタクトを取るなど、商談開始等に向け必要な支援を継続的に実施。加えて、過去の引き合わせから明らかになった課題を検証し、具体的には、外国企業側の競争優位性や都内企業の協業ニーズとターゲットの明確化などにより、翌年度以降の本事業の円滑な実施につなげている。
毎年250件を超える都内企業とのビジネスマッチングが実施されているとのこと。
また実証実験やプラットフォーム共同開発など、それぞれ進捗している点をフォローしていることが確認できました。
本事業は、誘致された先端的な技術を有する外国企業が、都内企業と協業し、新たなイノベーションの創出やビジネス活性化につながることが目的ですので、どのように役立ったのか、途中で中断となった場合は何が課題だったのか、しっかり検証することが非常に重要です。
ご答弁いただいたように、外国企業の競争優位性を明確にし、それに相性のよい都内企業はどんな特徴なのか、明確にしていくことが求められます。更に深く検証していただくことを要望し、次の質問へ。
3年間のビジネスマッチングの実績の中には、都内企業の成長のヒントとなるような好事例も存在していると考える。そのような事例を使っての積極的な広報も有効と考える。
(Q2)
今後本事業をさらに展開していくためには、都内企業への認知を向上させ、協業により適した企業の参画を得ていく必要があるが、その取組について伺う。
(A2)(特区推進担当部長)
・本事業を通じ、協業を数多く実現していくためには、多様な都内企業の認知・参画を得ていく必要がある。
・例えば、これまで、産業労働局、中小企業振興公社等の公的機関との連携を図り、都内企業の参画を促してきたが、今年度新たに中小企業基盤整備機構の協力を得てイベントを開催するなど、関係機関との連携を進め、都内企業へのアプローチの多角化を図っている。とりわけ、都内の中小企業が外国企業との協業により、イノベーションを創出し、成長することができるよう取組を進めていく。
・今後は、スタートアップ支援機関の協力を得るなど、幅広い企業の参画を得ながら本事業の更なる推進に努めていく。
都内企業の参画を促すため様々なアプローチを行うということで、しっかりお願いしたい。
繰り返しになるが、マッチングが新たなイノベーションの創出やビジネス活性化にどのように役立ったのか、成功要因を把握することがまず肝要であるので、その上で認知向上、対象の拡大に取り組んでいただきたい。
スタートアップエコシステムの強化
東京都の成長戦略として、来年度の主な取り組みの1つにグリーンファイナンスの推進があります。
社会的成果と経済的利益の両立を目指すインパクト投資を実践するファンドを創設すると、今定例会で私の一般質問に対して知事より答弁をいただいたところ。
もう一つの成長戦略として、スタートアップの成長を促し、新たなビジネスを創出するスタートアップエコシステムを形成していくということ。
(Q3)「スタートアップエコシステム 東京コンソーシアム」におけるスタートアップ、大企業、大学等の集積とネットワークを最大限生かし、会員間の更なるコラボレーションを促進することが今後一層求められる。そのために会員相互の交流活性化に資する環境を会員の声を聞きながら生み出す必要があると考えるが、都として今後どのように取り組むのか伺う。
(A3)(特区推進担当部長)
・これまで会員相互のコミュニケーションにチャットツールを使用
・ビジネスに繋がるための具体的な情報共有を行う上での課題が明らかに
・そこで、デジタルを一層活用し、高密度のコミュニケーションを可能とする情報プラットフォームを構築
・会員からニーズを聞き取り、利便性等の向上に資するツールを導入するなどにより、会員同士の情報共有や商談、マッチングを促進
・プラットフォームを会員の交流基盤として活用、コンソーシアムを活性化
スタートアップエコシステムが成功するための重要な要素として、活発なコラボレーションが次々と生まれる土俵があることが挙げられる。そのためのツールとして、機能を果たせる様に、一度作って終わりではなく、改善を加えながらエコシステムを成熟させて欲しい。
新規グローバルイベントについて
最後に新事業として取り組みが予定されているグローバルイベントについて伺う。
スタートアップエコシステムのさらなる進化、グローバル化のため、新規グローバルイベントを大きな契機としていくべきである。
(Q4)東京に新たな交流が生まれる場の創出に向け、イベントを成功させるためには、東京都だけではなく、エコシステムの関係者と共に取り組むことが重要であり、また、新型コロナウイルス感染症や国際情勢など不確実な状況も考慮する必要があると考えるが、見解を伺う。
A4(特区推進担当部長)
・スタートアップの創出や成長を促すためには東京のエコシステムのグローバル化が喫緊の課題。来年度新たに東京発のグローバルイベントを開催。
・イベントの開催に当たっては、多様な関係者との連携の下、今後の活動展開の契機へとつなげていく。
・イベントでは世界からイノベーションの担い手が集まり、国内のスタートアップや企業との交流機会を拡げるステージを創出。また、オンラインも活用し、ハイブリッド形式も検討。
・外国企業や投資家から選ばれる東京をめざすと共に東京のスタートアップが海外へ飛躍する機会を生み出す。
近年、グローバルな視点で、我が国の置かれている状況は、少子化による急速な国内市場の縮小などで、非常に厳しいものである。
加て、昨今のウクライナ情勢や感染症の蔓延で、世界情勢が非常に不安定な状況である。原材料高、物価高などの影響で都民生活、都内事業にも大きな影響がでてくるリスクは高い。
一方で、外部環境の変化はイノベーションやコラボレーションの源泉でもあるので、逆境をバネとして伸びることができる企業を少しでも増やせるように都として試行錯誤しつつ取り組みを行っていただくよう要望し、質問を終える。