都民ファーストの会東京都議団を代表し、当委員会に付託されました令和五年度予算関係議案について意見開陳を行います。

 令和五年度予算は、新型コロナウイルス感染症への対応に社会や経済が縛られた三年間から大きく一歩を踏み出し、東京、そして日本の未来を左右する大きな転換点としていく、未来につながる予算となっています。また、政策評価と予算編成の連携などにより事業見直しの精度を高め、ワイズスペンディングを徹底したメリハリある予算としています。

 具体的には、経済対策の強化、子育て支援、女性活躍、高齢者支援、気候変動や災害に強いまちづくり、多摩・島しょ振興など、都民生活にとって欠かすことのできない大切な施策が数多く盛り込まれています。

 都民ファーストの会東京都議団が要望し実現しました、18歳までの子供たちに月額5000円の給付や第二子の保育料無償化、出産応援事業、赤ちゃんファーストの継続と妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援への改善、卵子凍結への新たな支援、介護度の改善を実現する介護事業者への報奨金制度の創設、マンション防災の強化、町会、自治会による防災備品の購入支援など地域防災の強化、多摩地域の交通ネットワークの検討調査、スタートアップ施策の大幅な強化等の予算が計上されたことを高く評価します。

 あるべき東京の未来を想定し、未来への投資を積極果敢に進めるとともに、都民の安全・安心を確保する、効果的でスピード感のある政策の実現を強く要望します。

まず、産業労働局関係について申し上げます。

一、UPGRADE with TOKYOについて、5年で官民協働を10倍にする目標に向けて確実に取り組まれたい。

一、多様な主体によるスタートアップ支援事業の選定において、審査する専門家についてはスタートアップ経験者など当事者も参画されたい。

一、大企業と連携した中小企業・スタートアップの成長促進に向けた人材交流支援事業において、大企業に所属する「優秀な」人材をスタートアップに1年間出向させるということで、極力ミスマッチが無いように、大企業側、スタートアップ双方にとって効果を最大化できるよう尽力されたい。

一、複数の民間ファンドへの出資を行うファンド・オブ・ファンズを活用し、中小企業の「スコープ3」対応に必要な資金の提供に併せ、脱炭素化に役立つ計画づくりや人材確保など支援されたい。

一、株式によるクラウドファンディングなど新たな手法も取り入れ、スタートアップの多様な資金調達需要を支援する取り組みを推進されたい。

一、商店街のデジタル化は、取り組んだ後にしっかりと定着させ軌道に乗せていくため、商店街の連合組織や区市町村と連携し、専門家を派遣するなど継続的に支援されたい。

一、2030年度のテレワークの導入率80%を目指し、コロナ禍からのリバウンドを防ぎ、テレワークが定着するよう企業が抱える課題を自ら解決できるよう支援されたい。 

一、アニメ・漫画・ゲーム等のコンテンツ産業について、改めて脚光を当て、日本の魅力や観光資源として活用していくため、クリエイターの賃上げに取り組まれたい。

一、ファッション、アパレル産業のコロナ禍からの回復を支援し、都内各地での積極的なイベント開催に取り組まれたい。

 

一、世界的にサプライチェーン全体でのGXが求められる中、中小企業が取り残されないようカーボンクレジット等を活用し、資金面、情報面から中小企業の脱炭素化を支援されたい。

一、都内農産物の学校給食への活用など、地産地消を一層推進されたい。

一、農業従事者が安心して出産育児にとりくめるよう支援されたい。

一、中小企業支援事業については、投資効果が定かではないものや、都内経済の底上げに寄与しないものは事業評価により積極的に見直し、成長性や生産性の向上に寄与する分野への資源配分を高め、世界から取り残されないよう危機感をもって取り組まれたい。

一、大企業などを定年退職したシニア人材のセカンドキャリアを応援するためのプログラムでは都内の各地で参加できるよう工夫されたい。

一、非正規雇用で働く女性のキャリアチェンジ、育児などで離職していた女性の再就職などを様々な方法で支援されたい。

一、障害者就労においては、定着の難しい障害種別に対して一層のサポートを強化されたい。

一、認証を受けたソーシャルファームの経営力を強化するため、財政的な支援に加えて、行政からの受注の機会を増やし、民間企業との取引を拡大できるよう効果の高いサポートを進められたい。都をはじめとする様々な地方自治体が、ソーシャルファームとの間で製品やサービスに関わる契約を結びやすくなるよう支援されたい。

一、仕事と家庭の両立支援において、職場における無意識の偏見(アンコンシャスバイヤス)を取払い、男性育業の推進、リスキリングや子供の急な病気や学校行事の時に使える休暇の充実、資格取得支援や女性のライフプランの選択肢を増やす福利厚生の充実など、子供を安心して産み育てられる職場環境の整備を後押しされたい。

続いて、中央卸売市場関係について申し上げます。

一、稼ぐ力の向上に向け、海外輸出の取組をより一層支援されたい。また、食の外部化対応など多様なニーズに応える事業に取り組まれたい。

一、持続可能な市場運営に向け、経営状況を精緻に分析し、市場会計の見える化を図られたい。

 

一、デジタル技術の活用を通じたセキュリティの強化など、様々な先端技術等の活用可能性を検討し、市場の管理運営業務の高度化に向けた取組を、着実に取り組まれたい。

一、市場施設の省エネやフォークリフトのZEV化、市場業者の省エネルギー対策等への支援により、ゼロエミッション化を確実に推進されたい。

一、インボイス制度への対応もデジタル化による経営基盤強化の契機と捉え、市場業者の業務の効率化、競争力の維持向上に向けて支援されたい。

一、市場業者の働き方改革について、業界団体と連携して気運を醸成するとともに、労働環境を取り巻く法改正の動向等や労務管理のノウハウを提供し、更にテレワーク環境の整備などで支援されたい。

 

続いて、港湾局関係について申し上げます。

 一、東京港のカーボンニュートラルポート実現のため、民間企業、特にスタートアップの新技術を積極的に取り入れられたい

一、離島港湾DX事業の推進については、災害発生時など人工衛星やドローン等から得たデジタル情報、島の港に関する様々な情報、港の施設情報などから、セキュリティ上の課題のある重要施設に関する情報を除き、オープンデータ化を進められたい。また、都が進めているデジタルツイン実現プロジェクトにおいて、離島港湾DXで得た港の施設情報が反映されるよう関係局と連携して取り組まれたい。

一、伊豆・小笠原諸島への交通情報検索サイト「東京宝島うみそら便」をより一層、積極的にPRを展開し、島嶼の観光振興につなげられたい。

一、インバウンドや国内旅行の需要回復を見込み、東京の離島により多くの観光客が足を運べるよう、交通アクセスの利便性改善、プレジャーボートの受入環境整備、チャーター便整備、多言語対応など、着実に取り組まれたい。

 

一、臨海副都心における自動運転の実装に向け、公道における自動運転の検証と利便性や利用者ニーズ等を把握するとともに、社会実装に向けスピード感をもってすすめられたい。

一、臨海副都心における水素を活用した脱炭素化の推進に関して、水素混焼ボイラーへの安定的な水素供給技術に関する研究開発を実装へとつなげられたい。

最後に、労働委員会事務局について申し上げます。

一、労働委員会の業務において、都庁の外部の方とチャットやビデオ会議、書類の共有などが手軽にできるデジタルツールを積極的に活用し、仕事の効率アップと質の向上に更に取り組まれたい。

 以上で意見開陳を終わります。