公立小中学校のオンライン授業は果てしない道のり!?

都議会議員のあかねがくぼかよ子です。
先週から実施されている文教委員会が本日終了しました。

文教委員会では今回、生活文化局と教育庁関連で質疑が行われました。

今回はコロナ議会ということで、教育庁関連でも、休校中の各学校の対応状況、今後の課題について取り上げられました。

日本のICT利活用の遅れは教育でも

ICT利活用の遅れは、日本でコロナ禍への対応を遅らせた主因として認識されていますが、教育分野でも例外ではありません。中でも、双方向によるオンライン学習を行ったかどうかで3か月にわたる休校だった期間に、学習の差はとても大きくなってしまったといえるでしょう。学年や個人差があり、必ずしもオンラインの学習が万能だとは言いませんが、ひとつの重要な道具として利用できないというのは大きな不利益と考えます。世界的にはオンラインでの学習や授業が当たり前に実施されている環境ですので、我が国は遅れてしまっているのは否めません。

3か月の休校でオンライン授業ができたのはたったの・・

長引く休校の後半になっても、都内公立学校の保護者からは「期待したようなオンライン教育が提供されていない」という声を多くいただきました。都立高校は東京都が直接管轄しているのですが、小中学校は各自治体の管轄です。そこで、都民ファーストの会として、都内の各自治体が休校中にどのような学習指導(含むオンライン学習など)を行ったか、調査を依頼しました。その結果、

同時双方向型のオンライン指導や学習支援を行ったというのは、たった3つだけ!

(千代田区、渋谷区、奥多摩町)でした。(奥多摩町すごい!)

電子メールやホームページを利用した連絡は大半の学校が対応していましたが、これでは「教材を提供する」ことだけになってしまい、自立的な学習習慣を身に着ける途中の子供に対する「総合的な学びの提供」という意味では不十分といわざるをえません。

ただ、対応を各学校ごとに任せるのは、先生方に対して大変な負担になってしまうので、自治体の教育委員会として、しっかり共通の施策で教材づくりや提供方法を確立すべきと考えます。
先生方に求められるのは教材開発や仕組みの整備ではなく、ひとりひとりの生徒へのケアだと私は思います。

自治体(区市町村)教育の動きが鈍い理由

国や都は何も支援してないのでしょうか?そんなことはありません。
国はGIGAスクール構想で1人1台端末に向けて支援を進めています。都も6月中旬から国から端末が提供されるまでの期間、端末を貸し出すなど対応しています。

また教育委員会の古い考え方を打破する方針も文科省からしっかりと打ち出されています。

(参考)→ 文部科学省ICT活用教育アドバイザー事務局による解説動画

しかし、現場が動くには、根本的な体質改善が必要となり非常に難しいようです。

調査によると、例えば

  • 若手教員が新しいチャレンジを提案しても管理者が反故にする
  • 全員一律、画一教育から抜けられない(5%の家庭にICT環境がないことを理由に進めない)
  • ICTやセキュリティーの知識不足(パブリッククラウドが危険だという思い込み)

などが足かせになっていると思われます。

特に3つ目の課題「ICTやセキュリティーの知識不足」が最も困ったことで、IT分野の技術進歩に教育現場はついていけていませんので、間違った思い込みが横行しているようです。

更に個人情報保護についての自治体のポリシーなどと絡み合って大変複雑になっており、一緒に見直す必要があるようです。

結論からすると、外資系大手ITベンダーなど、技術力に信頼のおけるクラウドサービスを利用すれば、心配するような個人情報保護の課題は、ほぼ解決できるのですが、IT業界での常識は、教育や行政の現場には伝わっておらず、リテラシーの欠如による誤解や思い込みのため、適切な見直しが進まない、という事態に陥っています。

過去に技術力が不足する国内ベンダーによるシステムにより、情報漏洩などの事故が発生してしまいましたので、パブリッククラウドは危険だから公教育システムでは使わない、という自治体の方針をとってしまっているところが少なくないようです。

ただ、バブリックが危険だからといって、プライベートクラウドで安全な環境作りを構築し維持管理できるコストとリソースがあるわけでもないのですが。

こうして、双方向でのオンライン授業までには、通信ネットワークに関する誤解や知識不足により、すんなりといかない構造になっているようです。

各自治体の教育委員会などに粘り強く働きかけて、制度改正などが必要になるかと思います。このままではいけないと思われる方は、ITの分かる地元議員にぜひ相談してみてください!

都立高校では、その点は前進しまして、マイクロソフト社を導入して進めていくことになっています。都立高校での事例を自治体に展開して推進してもらえるよう、都民ファーストの会として、今回の文教委員会で要望し、よい動きになりそうです。

残念ながらIT・セキュリティーの分野は外資系企業にどうしても軍配が上がるようです。
ICT分野は今後の社会に不可欠で重要な分野ですが、人材不足ですので、東京都としても育成に力を入れていきます。この分野でも日系企業が一層活躍できるようにしていきたいですね!

関連情報

東京都のオンライン教育・ICT教育について