痛ましいことに、こどもへの虐待件数がコロナ禍の影響で増加しています。先週の予算審議でテーマとして取り上げました。

虐待当事者の声を政策に

虐待は4類型で整理されており、殴る蹴るなど身体的な虐待や性的虐待、食事を与えないというネグレクトといった深刻なものから、兄弟間での差別扱い、子供の前での激しい夫婦喧嘩などが含まれる心理的虐待と幅広い。

虐待の可能性のある保護者は、過度のストレスやメンタルの病気を抱えていることがほとんどであり、「あれはだめ、これはだめ、こうあるべき」とあるべき像を提示したところで、何も問題解決にはならないだろう。家庭内という閉鎖空間で子どもが危険な状態に置かれていることは、第三者から発見することは極めて困難である。

虐待サバイバーの壮絶な実体験について、直接被害者にお話を伺ってきた。残念ながら、人格的に親の役割は担えないほど、非常に重く病んでしてしまっている保護者も世の中には存在している。

にもかかわらず親権が強すぎることで、親から引き離せず、子供を守ることができない状況も多かった。被害当事者の乗り越えてきた体験と、今なお苦しんでいる被害者の子どもの支援を行っている経験を伺い、行政として改めて子どもの人権を守るため、現場の課題解決になる施策を進めなければと痛感したところである。周囲がいかに早期にリスクを察知して支援に繋げるか、未然防止の視点が必要である。

Q子育て中の親の悩みや困りごとに寄り添うことも重要だが、出産前からこれから親になる人への支援や教育も必要であり、社会全体で子育て家庭を支援することが重要である。虐待を受けてきた当事者や支援組織の意見を施策に取り入れ、実効性の高い取り組みにする不断の努力が必要だと考えるが見解は。

A(福祉保健局 局長答弁)

〇 都は、体罰等によらない子育てを推進するため、昨年度、保護者向けに、体罰が子供に及ぼす影響や、子供への接し方のポイントなどを伝えるハンドブック等を作成しており、子育て中の家庭に加え、出産前の家庭にも、区市町村や産科医療機関が行う両親学級などの機会を通じて啓発を行っている。

〇 今年度は、育児に関するヒントやアドバイスを分かりやすく紹介するウェブコンテンツを公開するとともに、虐待防止などに取り組む民間団体等の協力を得ながら、子育て支援者向けに、保護者に寄り添った声かけや説明の方法、虐待を受けた経験のある方の声などを掲載したハンドブック等を作成している。

〇 今後とも、虐待の未然防止に向け、効果的な普及啓発を行っていく。

家庭内という閉鎖空間で子どもが危険な状態に置かれていることは、第三者から発見することは極めて困難です。その点、子供と日々接している学校の教員が虐待の早期発見には重要な役割を果たしています。そこで

Q都内公立小・中学校及び都立学校ではどのような取り組みを行っているのでしょうか?

A教育長 答弁

・都教育委員会は、都内公立学校の全ての教員に毎年配布している「人権教育プログラム」に、児童虐待の早期発見に向けたチェックリストを掲載するとともに、教員研修セットを開発し、これらの確実な活用を促してきた。

・また、学校が子供のSOSを早期に受け止められるよう、全ての小・中・高等学校にスクールカウンセラーを配置するとともに、定期的に実施するアンケートの様式を示すなど、学校の相談体制の充実を図ってきた。

・こうした取組を通して、学校が、子供の小さな変化も見逃さず、虐待の疑いがあると考えられる場合には、警察や児童相談所等の関係機関と連携して対応するよう、徹底を図っている。

学校などでは教員向けのプログラムで、子供たちの小さな変化を見逃さない、疑いがある場合はすぐに警察や児相に通報するという流れができているとのこと。

中高校生など思春期を超えた年頃の子供は、それまでに虐待を長年受け続けているので、その状態にあきらめて適応してしまっており、つらい、とかいやだという感情を封じ込めてしまっていると当事者からのお話でわかりました。

つまり、施設に保護されても心理的に健康な状態に回復するのが非常に大変で、更に社会に適応していくためには、専門家による根気強いケアが必要不可欠ということです。保護者から離れ、児童養護施設に入所すれば問題は解決ではなく、そこからがスタートです。虐待サバイバーに対して、心身の健康を取り戻し、施設退所後も自分らしく自立して生きていけるよう、入所中から継続した支援が必要であると考えます。

Q 児童養護施設に入所した子供たちの自立に向けた支援について、都の取組を伺います。

A【福祉保健局 局長答弁】

○ 都は、児童養護施設入所児童等が、退所後も自立し安定した生活を送ることができるよう、施設に自立支援コーディネーターを配置

○ また、国制度により、自立支援を担当する職員を一名配置した場合に、運営費を増額して支援

○ 退所児童等が、生活や就労上の悩みを相談できるふらっとホーム事業を都内2か所で実施するほか、働きやすい職場の開拓等を行う就業支援事業も実施

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国の予算もついて、支援体制は拡充されているとのことがわかりました。制度や仕組みは整っているので、いかに中身を充実させるか、運用面が大事。本来家庭で培われるべき自己肯定感を取り戻し、社会の一員として生きぬく力を養っていけるよう、支援の質を高めていって欲しいと思います。

※写真は私の生まれた時&幼少期のものですが、両親に愛情をもって育ててもらったことに改めて感謝したいと思います。☺️💖